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インドが低コストで火星探査機のミッション成功 なんとハリウッド映画「ゼロ・グラビティ」より低価格 

宇宙開発:インド「格安」探査機 アジアで火星一番乗り

毎日新聞


 宇宙開発といえばこれまでは米国とロシアが競って開発してきたが、最近では急成長を遂げているアジア各国が積極的に乗り出している。昨年9月にはインドがアジアで初めて火星探査機を周回軌道投入に成功した。驚くべきは探査機「マンガルヤーン」にかかった費用だ。NASAの探査機の10分の1強の45億ルビー(約90億円)は、皮肉にも宇宙をテーマにしたハリウッド映画「ゼロ・グラビティ」よりも低価格だという。




 火星の地表や大気などのデータを集めて生命の痕跡を探る火星探査計画が承認されたわずか1年3カ月後の2013年11月5日にロケットの打ち上げに成功した。探査機「マンガルヤーン」は12月1日に地球の軌道を離れ、およそ6億6600万キロ、約300日間の火星への旅に出た。2014年9月24日朝、マンガルヤーンは火星軌道入りした。

 火星探査は、日本では1998年7月に探査機「のぞみ」を打ち上げたが航行中に電源系が故障して失敗に終わる。中国も2011年に「蛍火1号」を打ち上げたが失敗する。インド宇宙研究機構(ISRO)のラダクリシュナン総裁は「アジアの国でも実現可能なことを示せた。失敗例が役立った」と語っている。

 同時期に米国も火星の周回軌道に探査機「メイブン」を到達させたが、総予算は6億7100万ドル(約800億円)をかけている。マンガルヤーンはその10分の1程度で打ち上げることに成功したが、総裁によると既存の機材やシステムを組み合わせる「モジュール方式」を採用してコスト削減に成功したとのこと。とはいえ宇宙開発は莫大な予算を必要とする。インドでは、国民の約半数がトイレのない暮らしを送っているといわれており、宇宙開発に巨額の資金をつぎ込むことには批判もあるようだ。これについてラダクリシュナン総裁は「国民の利益のためだ」と説明する。

 昨年10月、ISROが政府に提供した気象衛星データがインドへの巨大サイクロン到来の早期警報につながり多数の命を救ったという。また衛星の開発が遠隔地教育システムの整備に応用されるなど、宇宙開発はさまざまな産業の発展に貢献するようだ。今回のミッション成功でインドの宇宙開発力を世界各国に示すことができた。これはインドが進める衛星打ち上げビジネスにもつながるという。