テレビや多くの書籍を含め、人間の性格を表すときに「内向的タイプと外向的タイプ」の2つに分類することは一般的にされていると思います。ところが、これら「内向的と外向的」の本来の意味は、多くのひとが思っているのとはちょっと違うようです。
人間の性格をたった2種類に分類するなんてできないことは、誰もが感じていることだと思います。しかし「内向的と外向的」の2つに分けることに関しては、多くのひとが違和感なく受け入れているのではないでしょうか。
一般的な解釈は誤りである
内向的タイプと外向的タイプの特徴を挙げるように問われたとき、みなさんはどのように答えるでしょうか。
「外向的タイプはおしゃべりが好きで人と仲良くなるのが得意だが、内向的タイプは人と話すのが好きではなく人付き合いが苦手なタイプ」と答えるかもしれません。
あるいは「内向的タイプは繊細だけれど外向的タイプは軽薄で図々しいタイプ」といった特徴を挙げるかも知れません。
誰でも優位なグループに属したいと思っているため、自分の考え方がどちらに寄るかで、それが自分だと思ってしまいますし、そして自分のタイプのほうが良いとする特徴を主張するものでしょう。
ところが、実は一般に広がっている「内向性と外向性」の解釈が、そもそも間違っているようなのです。
内向的タイプと外向的タイプ
内向性と外向性は、20世紀初頭にCarl Jung(カール・ユング)氏が提唱した性格の側面です。ユング氏は、日本人にとってもなじみのある心理学者です。いわゆる「ユング心理学」を創始した人です。
彼が定めた内向性と外向性の性格は、非常にシンプルです。人付き合いが上手かどうかや繊細さなどは一切関係ありません。ただ一つ、「どこからエネルギーを得るか」に関連したことです。
・内向的タイプ:社交すると消耗するため、独りでいることでエネルギーを回復する
・外向的タイプ:独りでいると不安になり、社交することでエネルギーを得る
どうでしょうか。話し好きだったり、内気だったり、出不精や冒険好きなど、一切触れられていません。どちらのタイプであっても社交的である可能性があり、冷静さや繊細さをもつ可能性があります。
社交的なイベントへの参加は、内向的タイプが消耗する一方で、外向的タイプはエネルギーを得ることから、より外向的な人のほうが好む傾向はあるかも知れません。
しかしそれは、必ずしも社交の得意・不得意とは直接つながりません。とても社交性があって誰とでも親しくなる人が、実は休日は家で独りで過ごすことが多いケースもよくあることです。
内向性と外向性はスペクトル
性格診断はとても人気があります。明確に分類された性格のタイプに自分を帰属する行為は楽しみでもあり、そして長所や短所などをはっきり示されることで自分を理解する助けになると感じるでしょう。
ところが、人間のタイプは明確に分類することはできないようです。「内向的と外向的」についても、2つのタイプに分類されるものではなく、私たちのほとんどはこの2つの中間にあって、両方のタイプの行動をしているそうです。
性格を形成する要素にはさまざまなものがあり、そのときどきの状況によって変化します。ひとりの人間を包括的に理解する性格分類は不可能なのかも知れません。
もし自分の性格タイプを決めつけてしまい、「自分はこういう人間だから」と考えてしまうと、本当に自分が望むものが見えなくなってしまうおそれもあるでしょう。わかりやすい性格診断テストは、自分を理解する最良の方法ではないようです。
(via lifehacker)