最近は声を低くしたいという男性が増えているといいます。落ち着いた印象があって信頼感が得られることもありますが、とくに女性から好まれる傾向があるのも事実です。いったいどうしてなのでしょうか。そこには、「単純接触効果」と呼ばれるものも影響しているようです。
自分の声は聞こえ方が違う
なぜ低い声が好まれるのかという問題を考える前に、「自分の声は実際の声とは違って聞こえてしまう」という現象について考えてみます。
音は、空気中の振動が外耳道を通って「鼓膜」を揺らし、それが蝸牛と呼ばれる器官で電気信号に変換されて脳に伝わることで聞こえます。
ところが、自分が発した声についてだけは、脳が音として認識する仕組みが違います。声を発したときは声帯が振動しますが、その振動が骨を介して体内を通り(骨伝導)、蝸牛に直接振動が伝わります。
そして、骨を伝わる「骨伝導」は低い音を伝えやすいため、普段自分が聞いている「自分の声(体内を伝わって聞こえる声)」は、基本的には低く聞こえてくることになります。
単純接触効果
心理学では「繰り返し接すると好感度が高まる」という単純接触効果が知られています。何度も見たり聞いたりしていると、次第に良い感情が起こるようになってくるわけです。同じ音楽を何度も聞いていると好きになったり、広告の効果も同じように説明できますね。
さて、先ほど述べたように、普段聞き慣れている「自分の声」は骨伝導を介して聞こえてくるため、どうしても普段から「低い声」をよく耳にすることになります。すると単純接触効果によって、低い声のほうが好ましく思えてくるというわけです。
もちろん、これがすべてではないとは思いますが、低い声が好ましく感じる要因のひとつかも知れませんね。
ちなみに、他にもこんな説があります。
「女性は男性を選ぶ際に良い遺伝子を得るため、テストステロン(男性ホルモン)の多い男性を選ぶ傾向がある。そしてテストステロンが多い男性は声が低くなるため、女性は本能的に声の低い男性を好む」
本当かどうかはわかりませんが。
(via Gigazine image by drestwn )