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怖い思いをすると「血が凍る」は本当だった!その生理反応の意味とは?

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とても恐ろしいことを「血も凍るほど」と表現することがありますが、これはどうやら単なる比喩ではないようです。オランダの研究グループが行った実験の結果が話題になっています。




日本では「血が凍る」と言いますが、英語では「Bloodcurdling」と書きます。どちらも「血が固まる」というニュアンスを含みますが、これが科学的にも実証されました。

ホラー映画の鑑賞実験

オランダ・ライデン大学の研究グループは、実験参加者24人を2つのグループに分けて、それぞれのグループに2種類の映画を観てもらいました。一方のグループは、先にホラー映画を観て、その一週間後に教育映画を観ました。もう一方のグループは先に教育映画、後にホラー映画です。

各グループともに、それぞれ映画を観る前と後、15分以内に血液を採取して成分を分析したところ、なんとホラー映画を観た後だけ有意に「血液凝固第VII因子」が増加することがわかったのです。

第VII因子はプロテアーゼの前駆体ですが、細胞が傷害を受けた際に活性化して血液凝固の一連の反応が始まります。つまり、何らかの理由で怪我をしたときの血止めに重要な因子だと言えるでしょう。

血液凝固因子の値が上昇する意味とは

さて、ホラー映画を観て恐怖を感じたときに血液凝固因子が増える意味は何でしょうか。

現代人にとってはあまり必要はないかも知れませんが、大昔の人間にとって恐ろしい思いをするときは、外敵と戦う必要がある状況です。つまり、恐怖を感じる状況とはすなわち外敵に襲われて傷を負う可能性が高い状況と言えます。

怖い思いをしたときに、その後の出血に備えて血液凝固因子の量を増やす反応は、生存競争を勝ち抜くためには非常に大事なことだったわけですね。

現代の世の中で普通に生活をしていて恐怖を感じる瞬間とは、それこそホラー映画を観たときくらいでしょうか。しかし平和な日本に暮らしていても、命に関わる危険な状況に遭遇する可能性がないわけではありません。そんな時のために、自分の体が防御機構を備えているというのは、ちょっと心強いと思いませんか?

(via HEALTHPRESS