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「不老」を獲得した生き物、その名も「働きアリ」

加齢に伴う老化現象の解明は、多くの研究者が取り組んでいます。そこには「どうすれば老化を食い止められるか」を求める目的が含まれていますが、残念ながら完全に老化を抑えるのは不可能でしょう。ところが、なんと「まったく老化しない」生き物が身近にいたようです。




北米に生息するオオズアリの一種「Pheidole dentana」で実験していた研究者らは、もともとは「不老」を研究していたわけではなかったそうです。

オオズアリの働きアリには、通常の小さな働きアリ「マイナーワーカー」と、大型化した一部の働きアリ「メジャーワーカー」がいます。

働きアリは、最初のうちはうまく仕事ができませんが次第に学習をしていき、徐々に活動が向上するそうです。研究者らは、行動や機能が徐々に上がっていき、ピークに達した後で衰退する経過を予想して実験していました。

ところが、実験室環境下で140日間生きることができるマイナーワーカーの活動は、最後までまったく落ちることがなかったそうです。

脳細胞の死滅や神経伝達物質の減少、あるいは作業効率の低下などいわゆる「老化現象」とみなされるものが一切みられず、死の直前まで最高の状態で生きていたという。いやむしろ、セロトニンやドーパミンなどは年をとった働きアリのほうが増えていたといいます。

いったいなぜ働きアリは老化しないのか。

研究者らは、働きアリには「生殖能力がない」ことや「低酸素状態の環境」が要因として考えられるとしていますが、詳細は不明です。

働きアリの「不老」の秘密を解き明かすことで、老化を食い止めることにつながるかも知れません。しかし、働きアリは「働きアリ」としての使命を全うするためだけに生きています。果たして人間にも応用できるかどうかは・・・。

(via WIRED