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何もしていないときも活動する脳の「グランド・ループ」とは何か

人間のからだ全体のエネルギーの約2割を使っている脳は、何もしていなくても膨大なエネルギーを消費しているそうです。この謎のエネルギーを解明する鍵となる「グランド・ループ」というものが提唱されています。




脳が消費するエネルギーのうち約90%については、いまだに何をしているのかわかっていないそうです。IBMの神経科学者であるJames Kozloski氏は「脳は、何もしていなくても膨大なエネルギーを消費している」と説明しています。

Kozloski氏は、安静時に脳が行っている活動について「グランド・ループ」というモデルを提唱しています。

グランド・ループ

脳には、神経組織によってさまざまな経路が作られています。Kozloski氏によると、脳はそこに電気信号を流してループさせているのではないかとしています。つまり、電気信号は脳につくられた経路を繰り返し何度もたどり続けるわけです。

これらの経路は脳内の3つの領域を通ります。それらは(1)知覚(いま、何が起こっているか)、(2)行動(それについて、どのように行動するか)、そして(3)辺縁系(それは自分にとってどのような意味をもつか)―に関わる領域です。

この経路は「閉じたループ」になっており、絶えず循環するこのプロセスに、脳のエネルギーの大部分が使われているというのです。

なぜこのようなプロセスが必要なのでしょうか。Koloski氏は、人間が初めての状況に置かれた際に「何が起こるかを過去の経験に基づいて予想するため」のメカニズムではないかとしています。

何らかの事態が発生して行動を起こすときだけでなく、何もしていないときにも脳は常に「事態に備えて」エネルギーを消費しているということでしょうか。

(via lifehacker