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睡眠不足は糖尿病や肥満の原因になる

糖尿病が睡眠障害をもたらすという話がありますが、逆に睡眠不足が糖尿病リスクを高めるのではないか、という話があります。シカゴ大学の研究グループが、睡眠不足とインスリン感受性との関係を調べました。




よく知られているように、睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。レム睡眠は脳が覚醒され、体が眠っています。一方、ノンレム睡眠では逆に脳が休んでいて、体は動いています。時間でいうとレム睡眠のほうが短く、夢を見ているのはレム睡眠の間です。

脳が休んでいるノンレム睡眠にも、眠りの浅いステージ1からより深い眠りのステージ4まであります。実験ではステージ3から4の「深い眠り」のときに騒音を流して、より浅い眠りのステージ2に戻すということを繰り返しました。これを毎日繰り返していくと、日を追うごとに睡眠不足になっていったといいます。

睡眠不足がインスリン分泌障害を引き起こす

さて、このようにして深い睡眠を妨げることを繰り返し、毎朝インスリン感受性を測定しました。つまり糖分を摂取したあと、どの程度インスリンが分泌されて血糖値を下げることができるかを調べたわけです。

その結果、睡眠不足をもたらすことでインスリンの分泌量が25%も低下してしまったということです。

健常者にも関わらずインスリン分泌が対応できず、血糖値が23%も上昇していました。数値でいうと、糖尿病予備軍のレベルです。

睡眠不足は肥満をも引き起こす

また、睡眠不足が肥満につながることも疫学研究で証明されています。これには食欲を調節するホルモンの分泌が関係しています。

睡眠不足になると、満腹感をもたらす「レプチン」の濃度を下がり、逆に食欲を刺激する「グレリン」の濃度が上昇します。そのため、睡眠不足の人は過食になりがちになり肥満をもたらすわけです。肥満になると、さらに糖尿病を引き起こすリスクが生じます。

肥満や血糖値が気になる人は適切な睡眠時間である7~8時間程度の快眠を心がけるのも大事ですね。