健康を維持するためには「しっかり食べる」「よく眠る」「適度な運動」の3つが大事などと言われますが、「適度な運動」とはいったいどの程度の運動のことをいうのでしょうか。この疑問に対する解答が、最近の研究によって明らかにされています。
健康にとって最適な運動量
米国立がん研究所などの研究チームが、66万人の「中年」について運動習慣のデータを分析しました。週あたりの運動時間の長さらいくつかのグループに分類して、それぞれの死亡率について調べました。
その結果、やはりというか、短命となるリスクが最も高かったのは「全く運動をしない」グループでした。
これまで、健康を維持するのにちょうど良い運動量は「週に150分」であると、一般的に推奨されています。
研究グループによると、推奨される運動量に達しないが、いくらかは運動をしていたグループでも「全く運動しない」グループと比べて死亡リスクが20%低くなることがわかりました。
そして、推奨される週150分のグループの死亡リスクでは31%低かった。
逆に、推奨値よりも3倍多い週450分のウォーキングを毎週していたグループの場合は、39%低いことがわかりました。3倍量も費やした割にはそれほど効果はないようですね。しかし「運動のしすぎは健康に悪い」という結果にはならなかったようです。
これらの結果からわかることは、
「全くしないよりは、少しでも運動をしたほうが健康」
「運動のしすぎが健康に悪いわけでもないが、週150分を超えるとそれほど効果がない」
ということになります。結局のところ、週150分程度の運動がもっとも効率のよい健康的な運動量ということになります。
激しい運動の効果
一方、オーストラリアで実施された別の研究があります。
こちらの研究グループの調査でも、やはり「週に150分」の運動を行えば、たとえば、ウォーキングなどの軽めの運動であっても死亡リスクを下げることができることがわかりました。
しかしこちらの研究には続きがあります。
週150分のうち30%を「激しい運動」に変更した場合、死亡率がさらに9%も減少したそうです。
激しい運動の量をさらに増やしてもそれほど効果は上がりませんが、死亡率が上がることもなかったそうです。
この研究結果から言えることは、週150分の運動をこなし、そのうち3割ほどは激しい運動を行うと効率よく健康を維持できるということになります。
例えば、月曜日から土曜日まで毎日25分程度の軽い運動(ウォーキングなど)を行い、日曜日は休息日とする。そして、そのうち2日は(例えば、火曜日と金曜日)激しい運動を取り入れてみるというのはどうでしょうか。
参考:GIGAZINE