近年のめざましい化学の進歩は食品業界に大きな変化を与えています。果汁ゼロパーセントのフルーツジュースなど、あらゆる種類の合成食品がスーパーに並んでいます。そして、世の中には「ワイン」を合成して作ってしまおうというツワモノがいるようです。
サンフランシスコの「Ava Winery」は、イタリアのモスカート・ダスティやあの有名な「ドンペリ」を、ぶどうを一切使わずに作ろうと研究しています。
彼らによるワインの製法は、まったくもって化学的です。まず、本物のワインを分析するころから始めました。
ガスクロマトグラフィーや質量分析法などの一般的な分析法を用いてシャルドネやピノ・ノワールなどのブドウの成分、そしてシャンパンを化学的に分析することで、ワインの匂いや味の性質を特徴づける分子を決定、分類しました。もちろん、ソムリエのサポートもあります。
分析結果に基づいて、水とエタノールにさまざまな香料を正しく組み合わせました。「ワイナリー」によると、研究の結果、とうとうイタリアのモスカート・ダスティを合成することに成功したとしています。
この白ワインはモスカート、すなわち「マスカット」で作られた微発泡のワインで、日本でも2000円程度で購入できます。
さて、完成した合成「モスカート・ダスティ」の味のほうは、どうだったのでしょうか?
試飲中の表情を見ると一目瞭然ですね。Ava Wineryは、次は同様の合成法を使って「ドンペリ」をつくるべく研究しているそうです。まあ、つくるのは勝手ですから。
参考:WIRED/Synthetic wine taste test