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いよいよ日本で臨床研究が始まる!長寿や若返り薬と呼ばれる「NMN」に効果がある理由

老化を遅らせて長寿をもたらすという夢のような物質「β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」について、いよいよ日本国内で臨床研究がはじまります。NMNとはいったいどのような物質で、本当に長寿が獲得できるのでしょうか。

臨床研究を開始するのは、慶応大や米ワシントン大の研究チーム。まずは10人程度の健康な人に投与して安全性について確認した後で、からだの機能を改善する効果などについて調べるとしています。

これまでの実験では、老化による代謝の低下や目の機能の低下が改善することがマウスで確かめられているそうです。NMNとは、いったいどのような物質なのでしょうか。

NMNについては、米ワシントン大の今井眞一郎らの研究グループが長寿に関係するとされる「サーチュイン」を活性化させることを発見しました。

サーチュインを活性化すると寿命が延びる

サーチュインタンパク質は「ヒストン脱アセチル化酵素」です。そのため、サーチュインが活性化するとヒストンタンパク質からアセチル基が外れ、ヒストンタンパク質と染色体DNAとの結合が強まります。

ヒストンとDNAの結合は、さまざまな遺伝子の発現を抑制する働きがあることから、結果的にサーチュインタンパク質の活性化は遺伝子の働きを抑制することにつながります。

詳細についてはまだわかっていませんが、ヒストンとDNAの結合が強まり遺伝子の発現を抑制することが、DNAの安定化をもたらし、結果的にDNAの損傷が防止されて長寿につながると考えられています。

サーチュイン遺伝子は飢餓やカロリー制限によって活性化されます。生物が飢餓状態に陥ると、細胞は「休眠状態」を維持します。このとき、細胞は新陳代謝の速度を減少させたり、DNA修復速度を変更させてゲノムの不安定性を減少させる機構を発動させます。これらのことと、「長寿」とが密接に関係している可能性はあります。

NMNはどのようにしてサーチュインを活性化するか

NMNはどのようにしてサーチュインタンパク質を活性化するのでしょうか。

NMNは体内で補酵素「NAD+」に変換されます。サーチュインタンパク質にはいくつかの種類が発見されていますが、補酵素DNA+を使うタイプのサーチュインタンパク質があります。そのため、体内のNMN量が増えると補酵素NAD+も増え、サーチュインタンパク質が活性化されます。

NMNもNAD+も体内にはもともとありますが、通常は加齢とともに減ってしまいます。そのため、NMNを投与して減った分を補ってあげることで、老化を防止することができるようです。

マウスの結果を踏まえた場合、人間では50代後半から60代あたりでNMNを作る能力が落ちてくることが予想されるため、その少し前から補充するのがよいとしています。

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マウスの実験では、寿命が16%延びたり、糖尿病マウスの血糖値が正常になるなどの効果も確認されています。他にもさまざまな臓器や眼、あるいは脳などの老化に伴う症状を改善することも確認されたとしています。

NMNについては、すでにサプリメントも市販されています。今後、臨床研究を経ることで、「寿命」が延びるかどうかはわかりませんが、より積極的に「治療薬」や「予防薬」として利用される日も近いかも知れません。

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