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自律神経の乱れを治すため「4つのルーティン」を生活に取り入れる

「最近どうもやる気がしない」「なんだか体がだるい」など、病気でもないのに体調が悪く感じることはありませんか? 原因はおそらく「自律神経の乱れ」です。ここでは誰でも今日から始められて、毎日の生活に簡単に取り入れることができる「自律神経の調整法」をご紹介します。




自律神経の乱れの正体とは何か

季節の変わり目で体調を崩しやすい、雨の日や台風などが来ると気分が落ち込むなどは、少なからず誰でも経験することです。これらは自律神経の調整がうまくできていないからです。

自律神経には、体を活発な状態にするための「交感神経」とリラックスした状態にするための「副交感神経」があることはよく知られています。

では、「自律神経の乱れ」とはいったい何なのでしょうか。

1日の変化を考えてみます。朝、目覚めると体を活動的な状態にするために交感神経を働かせます。逆に、夜は副交感神経を働かせて体をリラックスして休める状態にします。

天気の変化の場合はどうでしょうか。雨の日や台風が近づくなど気圧が低くなるときは、あまり活動せずにじっとしていた方がよいと判断し、体は副交感神経を働かせます。

季節で言うと、寒い冬が終わり春になって暖かくなると、体は活動的な状態にしようとして交感神経を働かせます。逆に寒くなって冬が近づくと、少しずつ体の活動レベルを下げようとして副交感神経をよく働かせます。

このように、人間の体は必要に応じて体の活動レベルを自律神経を使って調整しています。交感神経と副交感神経は、言わば「アクセル」と「ブレーキ」といったところでしょうか。

車の運転でアクセルやブレーキを急激に効かせるとどうなるでしょうか。アクセルを思い切り踏むと暴走車です。逆に、スピードを落としたいときに急ブレーキを踏むとどうなるでしょうか。どちらも危険な運転だし、車にも運転者にも優しい運転とは言えません。

自律神経の乱れとは、アクセルとブレーキを上手に使えていない状態と考えるとわかりやすいです。40キロで走りたいのにアクセルを踏みすぎて制限速度をオーバーしてしまったり、逆にブレーキを踏みすぎてスピードを落としすぎるような状態です。

自律神経の乱れはおおむね交感神経の暴走

アクセルとブレーキのどちらを使いすぎても体調を崩しますが、現代社会ではほとんどの場合、アクセルの効かせすぎ、つまり「交感神経の効かせすぎ」が原因になっています。

仕事などでストレスを抱えたり緊張状態になることが多いと、交感神経が高ぶります。これは、人間は身の危険を感じると体を戦闘態勢にするため、交感神経の活動レベルを上げるためです。

また、自律神経が上手く調節できなくなるのは中高年に多いとされています。これは、社会的なポジションとの関係もありますが、体の変化も原因になっています。

年齢ごとに自律神経を調べてみると、20代のころに比べて30代、40代と年を重ねるに従って副交感神経の活動レベルが低下していきます。一方、交感神経の活動レベルは変わりません。つまり、車で言えばブレーキだけが効きにくくなっていくようなものです。

また、副交感神経の活動レベルの低下は女性よりも男性の方が大きいこともわかっています。

自律神経の乱れを治す方法

これまでで説明したとおり、自律神経の乱れはほとんどの場合、副交感神経が上手く働いていないことが原因になっています。

必要以上に交感神経が効いているため、体が休まることなく働いて疲弊してしまうわけです。そのために体が疲れやすく、また気分が落ちてしまうわけです。

では、どのようにして副交感神経を上手く働かせてバランスの乱れを治せばよいのでしょうか。自律神経は自分の意思で調整できない神経です。しかし、実は副交感神経のスイッチを入れるための方法がいくつかあります。

「吐く」呼吸法

呼吸は生きていくために必要な大事なものですが、実は呼吸によって副交感神経を働かせることができます。それも、「息を吐くとき」にスイッチが入ることが知られています。

とにかく息を吸うよりも吐く時間の方を長くすればよいのですが、たとえば4秒で吸って8秒で吐くを実践してみてください。

緊張しているときに「深呼吸」するやり方は昔から知られていますが、これは副交感神経にスイッチを入れるためだったわけです。

緊張しているときはもちろんのこと、生活の中でいつでも気付いたときは、この呼吸を意識していみてください。それだけで体を休めることができます。

朝にコップ一杯の水を一気に飲む

朝、目を覚ますときは体の活動レベルを上げるために最も交感神経が活発になっているときです。しかし自律神経の調節がうまくできていないときは、必要以上に交感神経が活発になってしまいます。そこで、副交感神経のスイッチを入れてスピードをゆるめてあげます。

人間の体は腸が動くと副交感神経にスイッチが入るようにできています。そこで、胃に飲食物が入る刺激で腸の働きを高める「胃結腸反射」を使います。

胃を刺激できれば何でもよいのですが、「コップ一杯の水」が最も手軽です。胃を押し下げるような刺激が必要ですので、ちびちび飲むのではなく思い切って「一気に」飲み干してください。

ゆっくり話す・ゆっくり動く

たくさんの人を前にしたプレゼンなどで緊張すると、つい話し方が早口になってしまいがちです。逆に、意識して「ゆっくりと」話すように心がけると、気持ちも穏やかになってリラックスできます。

ゆっくり話したり、ゆっくり動作をするように心がけると、自然と副交感神経にスイッチが入って気持ちが楽になります。

とくに交感神経が暴走しがちな朝などは、少し早めに起きて、「ゆっくりと」身支度をするように心がけるとよいでしょう。

肌を指で触る

あまり知られていませんが、触覚を働かせることによっても副交感神経のスイッチを入れることができます。

子どもの頃、頭や背中を撫でられてリラックスした経験は誰しもあるのではないでしょうか。

より効果的に触覚を働かせるには、「触れるか触れないか」くらいの感じでゆっくり撫でるのが効果的です。ちょっと「ゾクッ」とする感じです。その方が神経が敏感になるからです。

特に神経が多く通っている顔の表面を指で触れると効果が高いです。なかなか寝付けない夜にやってみると、眠気を誘います。

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「ストレスがたまっている」「最近疲れやすい」「夜眠れない」といった症状が出てきたら、交感神経が優位になり過ぎているおそれがあります。そのようなときは、ここに挙げた4つの方法で副交感神経にスイッチを入れて体を休ませてあげてください。