バイオ研究を紹介するネットメディア 12.13 Fri

結局のところ、睡眠はどうすればよいのか?厚労省の「睡眠指針」を読み解く

健康な生活習慣のためには「良質な睡眠」を心がける必要があることは、よく知られています。睡眠の質を良くする方法について数多くの情報がありますが、結局のところ、どういう点に気を付ければよいにでしょうか。ここでは、厚生労働省が作成する「睡眠指針」を読み解くことで、最良の睡眠方法を学びます。

厚労省の「睡眠12箇条」

国民の健康づくりに取り組む厚労省は、最新の研究結果に基づいてさまざまな指針を発表しています。

健康な睡眠についても指針が作成されていますので、ここでは厚労省が発表した「睡眠12箇条」を紹介します。

睡眠12箇条

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

ちょっと無理やり標語調にしてあるのと、12個と比較的多めなために、少しわかりにくさがあります。そのためか、指針では詳しい解説がありますので順にみていきます。

睡眠の質を高めるために気を付けること

睡眠には心身の疲労を回復する働きがあるため、質と量を改善することが健康づくりにとって重要であることが述べられています。

そのため、指針では適度な運動と朝食をしっかりとることをすすめています。適度な運動習慣は入眠を促進し、朝食をとることで睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることにつながります。

ただし、寝る直前に激しい運動をしたり、夜食をとったりすることは、入眠を妨げるので注意が必要だとしています。

また、よく言われていることですが、寝る前の飲酒や喫煙は睡眠の質を悪化させるので控えるようすすめています。

アルコールは入眠を一時的に促進するものの、睡眠途中での覚醒が増えるために睡眠が浅くなること、ニコチンには覚醒作用があるために入眠を妨げるとしています。

また、就寝前の3~4時間以内にカフェインを摂取するのも、入眠を妨げたり睡眠を浅くさせる可能性があるため、控えた方がよいとしています。カフェインは覚醒作用のほか、利尿作用もあるため、夜中に尿意で目覚める原因にもなるとしています。

適正な睡眠時間について

日本人の成人の睡眠時間は、6時間から8時間の人が全体のおよそ6割を占めることから、これが標準的な睡眠時間と考えられます。

ただし、睡眠時間には季節変動があり、夏は短く、冬は長くなる傾向があるとのこと。

睡眠時間は年齢とともに変動があり、一般的に加齢とともに減っていきます。

夜間の睡眠時間は10代前半までは8時間以上ですが、25歳では7時間、45歳では6時間半、65歳になると6時間ほどというように、20年ごとに30分くらいの割合で減っていくことがわかっています。

ただし、寝床で過ごす時間については逆に年とともに長くなっていき、20~30歳代では7時間ほどですが、75歳では7時間半以上になります。

適切な睡眠時間については、個人差があるため明確な時間は決められないものの、おおむね6時間から8時間と考えるのが妥当としています。

ただし、睡眠時間を長くとればよいというものではなくて、「日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠時間」を自分で判断する必要がありそうです。

睡眠の環境づくりについて

寝室や寝床のなかの温度や湿度は、入眠のしやすさや睡眠の深さに影響します。

温度が低すぎる場合、手足の血管が収縮して皮膚から熱を逃がさないような仕組みが働きます。逆に温度や湿度が高すぎると、発汗による体温調節が働かず、皮膚から熱が逃げていきません。

睡眠に入るときは体の内部の温度が効率的に下がっていく体の仕組みが重要になりますが、寝床の温度が低すぎたり高すぎたりと、このような体の機能がうまく働かないために寝つきが悪くなります。

また、寝室の照明が明るすぎたり、白っぽい色の光があると、睡眠の質が低下するので気を付ける必要があるとしています。

寝床に入る時間は決める必要がない

規則的な生活習慣を送ることが健康には良いという認識があります。そのため、就寝時間と起床時間を決めている人は多いのではないでしょうか。

しかし、寝つける時刻は季節の変化や日中の活動によって変化するため、一年を通じて毎日同じ時刻に就寝することが自然なわけではないそうです。

寝床に入ってからなかなか寝つけない状態を経験して、心配になってさらに早く寝床に入ると、かえって寝つきが悪くなることもあります。

そこで、日々の就寝時刻についてはあくまで「目安」ていどに決めておき、その日の眠気に応じて「眠くなってから寝床に入る」ことが自然であって、スムーズに入眠することにつながります。

ただし、寝床に入る時間が遅れたとしても、朝起きる時刻は遅らせず、できるだけ同じ時刻に起きるようにします。

* * *

いかがでしたでしょうか。適切な睡眠時間についてはさまざま言われていることですが、厚労省の見解では「6時間から8時間」を標準の睡眠時間としています。個人差や年齢による違い、季節変動などがあるため、「〇〇時間が良い」と決められるものではないようです。「日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠時間」を自分で判断していくことが重要なようです。

また、就寝時刻については、季節変動やその日の活動量などによっても違ってくるため、スムーズな入眠を得るためにはあえて一定の時刻にする必要はなく、眠くなったら布団に入る程度のほうがよいようですね。ただし、起床時刻は一定にしたほうがよさそうです。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」

新着記事