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LSDなど薬物の使用で脳に生じた「高次の意識状態」を計測

LSDなどの薬物を使ったときに脳で起こる現象を計測したとする研究結果が発表されています。脳が「高次の意識状態」になるとは、いったいどういった状態のことでしょうか。

LSDなどの幻覚作用のある薬物を投与すると、感覚が研ぎ澄まされたような状態になったり、精神が解放された状態を経験することができるとされています。通常の状態とは違った知覚や感覚をもつといいますが、脳科学的にはどのような脳状態になっているのでしょうか。

英サセックス大学などの研究チームは、LSDやシロシビン、そしてケタミンを被験者に投与して、脳活動を計測しました。実験では、脳内の電気的な活動により生じる磁場を計測する「脳磁図(MEG)」を使って測定しました。

被験者たちの脳の状態について、安静時、プラセボを投与した状態、そして薬剤を投与したときの脳データを計測。薬物は3種のうちの1種を各被験者に静脈投与して、幻覚剤の影響について調べました。

被験者らには脳活動の計測とともにアンケートも実施しました。具体的に薬剤を投与した際にどのような体験をしたかについてです。内容は、幾何学模様を見た、時間認識が歪んだ、自我の崩壊を経験した、神秘体験など複数の項目から、自分の体験に合致するものを選択する方法でした。

実験の結果、被験者たちの脳では薬物の投与によって「後頭部」と「頭頂部」の活動が活発になることがわかりました。後頭部は視覚情報を処理する領域で、また頭頂部は視覚空間の処理を行う領域とされています。

影響はすべての薬物でみられましたが、とくにケタミンを投与された時の影響が強かったとしています。

ケタミンを投与された被験者の多くが、「自我の消失」だったり「鮮やかなイマジネーション」を経験したという。

また、研究チームによると、薬物の影響によって脳では「神経活動の多様性」の増加がみられました。

神経活動の多様性が増えるというのは、どういった状態のことでしょうか。脳内では各神経の活動につながりがありますが、研究チームによると、薬物が脳神経の活動の複雑なつながりを促進させて、通常の状態と比べて多様化した状態になるとしています。

意識レベルは、睡眠時から安静時、そして起床時へと順に覚醒していきますが、薬物を投与された状態は、さらにその上にある「高次の意識状態」にあるといえるという。

このような通常より高次レベルにある意識状態では、通常とは違った知覚や色彩感覚などが誘発され、いわゆる「幻覚剤の影響」を生じたといえます。

このような意識状態においては、通常の脳状態と比べて「統合性に欠けており、予測しづらくなってしまう」とのこと。

このような幻覚剤による神秘体験では、「癒し」をもたらす場合があることが知られています。もし厳重に管理された摂取量であれば、医学的な治療目的で使用する可能性があるとのこと。とはいえ、通常とは違った脳活動の状態が与える影響については、さらに詳しく調べる必要がありそうです。

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