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脳内のコンドロイチン硫酸が脳の成長期をコントロールしている

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新潟大学の研究グループが、脳内のコンドロイチン硫酸の量に応じて、神経回路の成長期がコントロールされることを発見しました。

少量のコンドロイチン硫酸に子どもの脳の成長期を促す作用があることが解明されるとともに、病気の治療法開発にもつながる可能性があると期待されます。

脳が発達する臨界期

子どものころは一般的に、大人になってからと比べて外国語やスポーツ、音楽などさまざまなことを習得するのが早いものです。

この理由は、大人と比べて雑念がないということもあるかも知れませんが、神経回路を活発につくる「臨界期」と呼ばれる成長期があるからです。

子どものころ、目でみた情報は大脳の視覚野に送られますが、臨界期に片目をふさいでしまうと、ふさいだ方の目からの情報よりも開いた方の情報を多く受け取るように神経回路が作り変えられます。その結果、ふさいだ方の目は視力が弱くなり、大人になってからも回復しないことが知られています。

このように、子ども時代には「臨界期」と呼ばれる脳の仕組みが存在しています。

臨界期には興奮性と抑制性の神経細胞が働く

これまでの研究では、臨界期が現れるときに抑制性の神経細胞と興奮性の神経細胞がうまくコントロールされていることがわかっています。車で例えると、ちょうどブレーキとアクセルの関係に例えることができます。

また、研究結果から大脳の「PV細胞」と呼ばれる抑制性神経細胞の一つでは、「コンドロイチン硫酸」を豊富に含む網目構造が構築されることが明らかになっています。

この網目構造は、大人の脳で神経回路の形成を抑制することが報告されており、臨界期の子どもにおいても少量のコンドロイチン硫酸が存在することがわかっており、研究グループは、この少量のコンドロイチン硫酸が臨界期の誘導に必要であることを解明しました。

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脳内コンドロイチン量で臨界期の始まりを終わりが決定(画像:新潟大学)

臨界期をコントロールして病気の治療に

臨界期は、神経回路が集中的に作られる脳の成長期と考えられます。もし臨界期をコントロールする仕組みの全容が解明されれば、大人の脳に臨界期を安全に誘導することで、脳機能の再建など新しい治療法の開発につながる可能性があります。

また、近年では臨界期やPV細胞の機能異常が精神疾患の一因になることが指摘されています。将来的にはコンドロイチン硫酸によるPV細胞の機能の改善が、精神疾患の症状の軽減にもつながるのではないかと期待されます。