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脳のサイズはオスが大きいが神経細胞の数はメスが上回る

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男と女では体の構造やサイズに違いがあるのは誰でも知っていることです。では、脳に男女差はあるのでしょうか。




コールド・スプリング・ハーバー研究所の研究グループは、オスとメスのマウスの脳の構造について、立体的に脳のさまざまな領域を視覚化して比較する研究を行いました。

まず、脳全体について明らかになったことは、サイズに関して言えばオスの方がメスよりも大きかったということです。

しかし、研究グループは神経細胞の個数について、脳内のさまざまな11カ所の領域を調べました。すると、今度はメスの方が11カ所中10カ所で神経細胞の数が多いことがわかりました。

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マウスのオスとメスの脳の比較(画像:Hazad lab)

研究グループによると、メスの方が生殖や社会、あるいは育児に関係する領域で神経細胞が多く、より多くの処理を行っている可能性があるとのことです。

ところで、1カ所だけオスの方が神経細胞が多い領域がありましたが、いったい何を行っている部位だったのでしょうか。これは、視床下部にある射精を制御する小さな領域だったとのことです。

さて、人間の脳ではどうなのでしょうか。男女で性差はあるのでしょうか。

オランダのエラスムス・ロッテルダム大学の研究グループが脳の大きさについて男女差を調べたところ、やはり男性の方がサイズは大きいことがわかりました。

研究グループは、20代から30代の男女約900人の脳についてMRIを使って調べました。総体積についても、灰白質や白質の体積につてもやはり男性の方が大きいことがわかりました。

しかしながら、考えてみると体全体の大きさは明らかに男性の方が大きいことからも、脳の単純なサイズについても男性の方が大きいことは自然なことだとも言えます。

また、研究グループは認知テストについても行っており、男女の比較をしています。その結果、空間認識の能力については男性の方がスコアが高く、逆に記憶能力については女性の方が上回っている傾向があったとしています。

また、米カリフォルニア大学の研究グループによると、女性の脳の方が神経回路の接続性が高くて、情報が整理されているとのこと。

たとえば、IQテストの結果について男女差はあるのかどうか。これについてはニュージーランドの研究者が発表しているようです。

研究者によると、およそ一世紀にわたって女性のIQは男性よりも低い結果だったそうですが、次第にそのギャップは縮まっていき、とうとう女性が上回ったとのこと。

なぜIQの結果が時代とともに変化しているのでしょうか。研究グループによると、論理や分析などが重要とされる教育や職業などによって変化が生じるとしています。男女が平等に教育や職業を得られる近代的な時代に変化する過程で、女性のIQが高くなったとのこと。社会的な背景などが脳に与える影響が大きいため、知能の男女差を単純に比較することは難しそうです。

参考:123