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数十万人のデータから「最適な睡眠時間」が判明、快適に過ごすために必要な時間は?

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人間にとって最適な睡眠時間は何時間が正しいのでしょうか。さまざまな研究者がこの問題に取り組んでいますが、アプリを使って数十万人の睡眠データを分析した結果が発表されています。




日本人の睡眠時間

日本人は他の国の人々と比べて睡眠時間が短いということをよく耳にします。子どものころは別にしても、確かに社会人となってからは睡眠が不足気味な気がしています。周りの人たちの話を聞いてみても、やはりもう少し睡眠を取った方がよいのではないかと思ってしまいます。

日本人は働き過ぎて睡眠時間も削っているのでしょうか。実際に100カ国以上の人たちの睡眠時間についてデータを収集した結果が発表されています。スマートフォンのアプリを通じて集められたデータですので、単なるアンケートと比べても信頼性が高そうです。

集計結果は以下のグラフとおりです。

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国別の平均睡眠時間(画像:ITMEDIA)

AとBの横軸は、それぞれ起床時刻、Bが就寝時刻を示しています。両グラフとも縦軸は睡眠時間です。グラフを見ると、日本とシンガポールが100カ国の中でも最低水準であることがわかります。

シンガポールの人たちの睡眠時間が短い理由は就寝時刻が遅いことにあるようですね。

一方、日本人も就寝時刻は遅めではありますが、特別遅いわけではありません。しかしながら、起床時刻もかなり早い方であるために結果として睡眠時間が最低水準になってしまっているようです。

グラフによると、日本人の平均睡眠時間は7時間30分くらいです。これくらいの睡眠時間があれば十分という気もしますが、他国の結果をみると8時間くらい欲しい気もします。

さて、適切な睡眠時間は個人差が大きいといった話もありますが、実際はどうなのでしょうか。世界で多くの研究者が適切な睡眠時間の研究を続けていますが、「Jawbone」というウェアラブルデバイスを開発する企業がアプリを使って調べています。

快適に過ごすために必要な睡眠時間が判明

「Jawbone」が提供しているアプリ「UP」は、ユーザーが日々おこなっている睡眠や運動、食事などのライフログとともに、そのときの「気分」までも記録することができるそうです。

そこで、過去1年間にわたり数十万人のユーザーから収集したデータを解析して、いったい何時間眠ると快適に過ごすことができるのかを明らかにしました。

データの解析結果を示すのが下のグラフです。

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横軸が睡眠時間で、縦軸が「気分の良さ」を示しているとのこと。

グラフを見ると、睡眠時間が増えるに従って気分が良くなっていき、8時間から9時間半で最大となっています。そして9時間半を過ぎると徐々に下がっていくようですね。

ちなみに「気分ログ」のデータは前日の睡眠状態が反映されやすいように、起床後3時間以内の気分についてのデータを使用したとのこと。

個人によって最適な睡眠時間は違うのかも知れませんが、数十万人のデータでここまで明確なグラフになるというのは、ちょっと無視できない結果ですね。

さて、グラフに示された結果をそのまま解釈するならば、人間が快適に過ごすために必要な睡眠時間は「8時間から9時間半」ということがはっきりとわかります。

「意外と長いかな」という印象を受けたのですが、どうでしょうか。

8時間まではほぼ直線的に上がっていることを考えると、やはり8時間の睡眠時間は欲しいところ。そして8時間を超える睡眠時間を取ったとしても、日中の気分に変化はない、といったところです。

結論としては、「8時間睡眠」が正しいことになりますね。とても妥当な結果という印象を受けます。

ちなみに「Jawbone」によると、世界で最も睡眠時間が短い国民は、日本人だそうです。これはほかのデータとも一致した予想どおりの結果です。なんとしても、8時間の睡眠時間を確保したいものですね。