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英文を処理するやり方は男女で違う、文法優先かことばの意味優先か

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脳の活動においていくつかの男女差がみられることは、さまざまな研究から明らかになってきており、また実際の生活においても男女の違いをさまざまな場面で感じることがあります。

語学の習得においてははどうでしょうか。一般的には、どちらかと言えば男性よりも女性のほうが「語学が得意」であるとされるケースが多いように思います。

女性は語学習得が得意とするような科学的根拠は、実際に存在するのでしょうか。首都大学東京の研究グループは、日本の中学生を対象に「英語」を処理する際の脳活動を詳細に分析して、男女でどのような違いがあるのかを調べています。

男女で英文の処理の仕方に違った傾向がみられる

研究グループが分析したのは、「英語テストの成績」や「脳活動」、短期的に情報を記憶しながら情報の操作や分析をする「ワーキングメモリ」についてです。

研究の結果、英語テストの成績は女子のほうがよいことがわかりました。しかし脳の機能については、ワーキングメモリの容量については女子のほうが大きかったものの、文法規則に沿って構文処理をするスピードについては男子のほうが速いことが明らかになっています。

さらに、正しい文(正文)か正しくない文(非文)かを判断する際、男子は非文を聞き取った際に脳活動を低下させてより効率的な処理をすることがわかったとしています。

これらの結果は、言語処理をする際の脳の使い方が男女で異なることを示しています。

男子は文法に則った処理を優先する傾向がある一方で、女子のほうは言葉の「音」や「意味」などのような文全体から得られる言語知識を統合的に処理する傾向がみられました。

また、ワーキングメモリの使い方についても男女差が見られています。女子の方はワーキングメモリの容量が多いほどテストの結果がよいという正の相関が見られましたが、男子にはこのような相関はありませんでした。

このことは、男子よりも女子のほうがワーキングメモリを十分に活用して言語処理をしていることを示しています。

論理的思考が語学習得の邪魔をする

一般的に、男子のほうが理数系の科目に強いと考えられています。理数系の科目を学習するうえで重要なことは論理的思考です。

今回の研究では、英語の読解において男子は女子よりも構文処理を重要視している可能性が示されたと考えられます。

構文処理とは、まさに言語が論理的に記述されているか否かの判断に基づくものです。

しかし、語学は数学や物理と違ってそれほど論理的に正確には記述されていません。ときには原則に基づかない表現(例外)も出現します。目にした文が正しくないと判断したとき、男子の脳は活動を低下させてしまいます。

文法の正確性のみを判断するだけなら男子のほうが得意かも知れませんが、文章の意味を把握するためには構文処理だけでは追いつきません。さまざまな意味の可能性を文全体から統合的に判断する柔軟性が大事です。

その結果、男子よりも女子のほうが英語習得には向いていることになるのかも知れません。

ではいったい男子は、どうすればより効率的に英語を学習できるのでしょうか。この問題に対する答えは今のところ出ていません。

しかし、考えられるのは2通りです。

一つは、もともと得意である「論理的思考」を使った言語処理の能力をより向上させて、構文処理による語学能力を極めること。

そして二つ目は、これまでの構文処理に偏った言語処理ではなく、文に含まれる単語の意味を理解して文全体の意味を統合的に処理する言語処理方法を新たに身につけることです。

いずれにしても、今後の英語の授業では性差も考慮した効果的な学習法を考案していくことも考えるべきなのかも知れません。

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