和食によく登場する「シソ」は漢方の原料でもあります。むかしから解熱作用や整調作用、あるいは抗炎症作用があるとされてきましたが、今回、腸の炎症を抑える機能があることが実験で証明されました。
シソの香気成分「ペリルアルデヒド」
シソに特有の香り成分である「ペリルアルデヒド」には、制菌作用がるため食中毒を予防する働きがあるとされています。そのため、むかしから刺し身などにシソを添える習慣があります。
また、嗅覚を刺激して胃液の分泌を促進するため、食欲を増進させたり健胃作用もあるとされています。しかしペリルアルデヒドの生理機能についてはまだまだ不明な点が多いことから、東京理科大の研究グループは今回、この成分が腸の炎症を抑える作用についてマウスを使った実験を行いました。
マウスの実験で腸炎症を緩和
実験では、シソの香気成分「ペリルアルデヒド」を含む水を、腸炎を発症させたマウスに飲ませました。その結果、マウスは腸炎症が緩和するとともに、マウスの成長の回復にもつながることがわかりました。
腸の長さやマウスの体重の変化(東京理科大)
さらに研究では、ペリルアルデヒドの作用によって炎症作用にかかわるサイトカインの産生が抑えられることも明らかになっています。
このような、腸炎を緩和する効果はどのくらいの量で得られるのでしょうか。
ペリルアルデヒドはシソ葉の中に大量に含まれています。計算では、成人あたり1日あたり2から3枚程度のシソ葉を食べることで、重度な腸炎でも緩和させることができることがわかりました。
今回の実験結果から、シソを積極的に食べることで腸炎を抑える効果が得られることがわかりました。また、ペリルアルデヒド成分をサプリメントとして服用することで腸環境の改善につながる可能性もあります。