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男性型脱毛症「AGA」もまた、ストレスや生活習慣で重症化する可能性

男性型脱毛症(AGA)は、遺伝的要因や男性ホルモンの影響があるとされてきましたが、実は環境的要因も関係していることが明らかになってきました。やはり、生活習慣やストレスもまた悪影響を及ぼしているようです。




「薄毛」にもさまざまな要因があるため、実はそれらによっていくつかのタイプに分類することができます。特に男性ホルモンの一種である「テストステロン」の影響によって薄毛になるタイプは、男性ホルモン型脱毛症、あるいは男性型脱毛症(AGA)などと呼ばれています。

テストステロンは体内で活性型男性ホルモン「DHT」に変換されますが、このDHTが毛乳頭に作用すると、毛髪を生み出す毛母細胞に「脱毛」の指令が出されてしまうからです。

そのため、生まれつきDHTの量が多かったり毛乳頭がDHTに過剰に反応してしまう人は、通常より脱毛サイクルが早くなってしまい、薄毛になってしまうというメカニズムです。

このような傾向は遺伝的要因が大きいため、親兄弟でも薄毛になることが多く、ある意味では抵抗することが不可能な部分もありました。

ところが、実はAGAのタイプの薄毛であっても、遺伝的な要因とは別に環境的な要因もまた存在することがわかってきました。

近畿大学とリーブ21の研究グループは、男性型脱毛症(AGA)の20~40歳代男性を対象に、ストレスや運動、食生活などの生活習慣についてのアンケート調査、および血管幅やヘモグロビン推定量などを調べました。

対象者を「軽症群」と「重症群」に分類して調べたところ、脱毛度とヘモグロビン推定値に相関があることがわかりました。

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ヘモグロビン推定値と脱毛度(近畿大)

上の表からも分かるとおり、軽症度の人に比べて重症度のAGA男性の方が、ヘモグロビン値が高い傾向があることが明らかになりました。

なぜ、ヘモグロビン値が高いと重症となるのでしょうか。一般的に、脱水症状や酸素不足などが原因でヘモグロビン値が高くなることが知られています。ヘモグロビン値が高い場合は血流が不足することから、栄養不足などとなって脱毛に影響している可能性が考えられます。

これらのことから、生活習慣の悪化やストレスなどが影響して血流が悪くなり、AGAが重症化するという関係があると考えられます。

遺伝的要因が強いと言われるAGAですが、やはり生活習慣やストレスなどの症状への影響も少なからずあるようです。