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研究者が発見した「明晰夢」をみる方法で成功率が上昇

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「明晰夢」とは、「いま、自分は夢を見ている」と自覚できる特別な夢のことです。現実世界のようにリアルなのに、現実では絶対にできないことが自在にできるまさに「夢のような世界」です。




自由に空を飛んだりちょっと人には言えないようないろいろなことができちゃう明晰夢ですが、そんな極めて個人的な楽しみのほかにも、たとえば身体能力の向上だったりクリエイティブなトレーニング、あるいはトラウマや悪夢障害の治療などのメリットも期待されています。

明晰夢を自在にみたいと思う人も世の中には数多くいて、さまざまな方法もまた試されています。しかし、絶対的に可能になる方法はというと、いまだ発見されていない様子。

そんななか、オーストラリアの研究グループが明晰夢をみる方法について実験をした結果が論文として発表されているようです。

研究グループが試した方法は3つ。

1つ目は、起きている日常生活のなかで何回か「自分が夢の中にいるかどうかを確認」する方法。これを習慣化することで、夢の中でも確認行動をするようになるため、「いま、自分は夢をみている」ことが自覚できるようになります。

2つ目は、入眠してから5時間後に目を覚まして、再び入眠する(つまり、二度寝をする)方法。これによってレム睡眠へと誘導しやすくなり、夢をみやすくなるというわけです。

3つ目は、入眠から5時間後に目を覚まして、再入眠前に「次に夢をみるときは、夢の中にいることを自覚する」と心の中で念じるというやり方です。

これら3つの方法を被験者たちにしてもらって、実際に明晰夢をみる確率を調べました。

その結果、3つ目の方法(二度寝する前に念じる)では、大きく成功率を向上させることに成功しています。特に、5分間で再入眠に成功した人たちでは成功率が5割近かったという。また、この方法の有効性は初心者に特に顕著だったとしています。

「夢をコントロール」する有効な方法が判明:研究結果
Reality testing and the mnemonic induction of lucid dreams: Findings from the national Australian lucid dream induction study.

それにしても、明晰夢とはいったい何なのでしょうか。通常、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があるとされていますが、夢をみているのはレム睡眠中だと言われています。

レム睡眠中には、脳の前頭前野の領域の活性が覚醒時と比べて低下していますが、明晰夢の場合はこの領域がより活発になるとしています。前頭前野は、思考や創造性を担うの脳の中枢とも言われています。

しかしながら、ある研究ではレム睡眠でもノンレム睡眠でも夢をみている状態が確認されるとしています。

いったい、何が正解かいまだ明確にはわかっていません。まだまだ、夢の世界のことは不明なことが多いようです。