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妊娠期の喫煙や出生後の受動喫煙が子どもの聴覚発達に悪影響を及ぼす

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妊娠中に母親が喫煙をしていたり生後の受動喫煙があると、生まれてくる子どもの聴覚発達が悪影響を受ける可能性が指摘されています。妊娠期や幼い子どもがいる家庭ではとくに禁煙を促す必要性が確認されたとしています。




胎児期や乳幼児期は子どもの成長に与える影響が大きい時期です。京都大学の研究グループは、2004年から2010年にかけて神戸市の乳幼児検診を受診した母子およそ5万ペアについて、妊娠期の喫煙と生後の受動喫煙について、3歳児検診の聴覚検査の結果と比較して分析しました。

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妊娠期喫煙および出生後の受動喫煙と、子どもの聴覚発達へのリスクについて(京都大学)

その結果、妊娠期に喫煙のない母親の子どもと比べて、妊娠期に喫煙をしていた母親の子どもでは聴覚障害の判定の受けやすさが1.75倍程度まで高くなることがわかりました。

また、妊娠期の喫煙に加えて出生後4カ月に喫煙する同居者がいる場合は、さらに聴覚障害疑いの判定の受けやすさが2.35倍になることも明らかになりました。

妊娠期の喫煙は胎児の発育が阻害されることが知られています。今回の研究からは、胎児の蝸牛形成にニコチンが影響を与えている可能性が示されました。

また、生後において聴覚が受動喫煙から受ける直接的な影響は解明されていませんが、難聴の原因のひとつである中耳炎は、タバコの副流煙があると治りにくいとされており、結果として聴覚に影響を与えていることも考えられるという。

今回の研究のように、自治体のもっている母子保健情報から母親の喫煙や飲酒、家族の喫煙が子どもの発育に影響を与えることが疫学的にわかってきました。

研究グループは今後、妊娠期の喫煙や生後お受動喫煙がアレルギー疾患に与える影響についても検討する予定だとしています。