脳科学などバイオ研究のニュースや話題 11.23 Thu

バイオコラム

自分の話がウケたときに起こる脳内のメカニズムが明らかに

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自分が話した内容が相手に「ウケた」とき、脳内ではどのようなメカニズムが働いているのでしょうか。ここにはお金や褒めなどにも関わる「報酬系」と呼ばれる脳内の機能が関係していました。
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自閉スペクトラム症者のコミュニケーション障害、他者のイレギュラーなリズムへの適応が関係

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自閉スペクトラム症には多くの特徴があり、その個人差が大きいことが知られています。その中でも「社会的コミュニケーション」の障害や「こだわり傾向」の強さが大きな特徴であることが明らかになっています。
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ショウジョウバエにはオス脳とメス脳を切り替えるスイッチがある

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男女では物事の捉え方や感じ方に違いがあるといった「脳の違い」についてよく言われています。実際に、脳の構造や神経回路に男女差が存在する可能性もありますが、人間の脳について性差の詳細はよく分かっていません。
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宇宙飛行士の脳に構造の変化、長期にわたる無重力状態が影響か

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宇宙飛行士の脳構造に、わずかながらも変形するなどの異常がみられることが発表されています。健康などへの悪影響についてはまだ不明ですが、今後の宇宙開発事業に何らかの影響が出てくる可能性があります。
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歯周病とアルツハイマー病の関係が分子レベルで明らかに

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認知症のおよそ6割を占めるアルツハイマー。その原因はアミロイドベータと呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積することと言われていますが、名古屋市立大などの研究チームによって「歯周病」との関係が分子レベルで明らかにされました。これは世界初の発見です。
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オスはメスにプレゼントするようプログラムされている

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人間界では男性が女性に結婚を申し込む際に指輪をプレゼントする習慣がありますが、動物界でも雄が気に入った雌に対して求愛するとき、プレゼントをする習性があるようです。ただし、自分が食べたものを口移しで雌に与えるという、ちょっと変わった贈り物ですが。
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大脳を支える基本的な単位回路が発見される

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人間の大脳は100億個以上もの神経細胞からなる、とても複雑な構造をもった組織です。大脳の神経回路の構造については、これまでにさまざまな研究がなされてきましたが、その複雑さゆえか、いまだに不明な点が数多く残されています。
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映像を見て感じた内容を1万語で表現する脳情報デコーディング技術を開発

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画像:情報通信研究機構

映像を見たときに感じた内容を、名詞や動詞、形容詞からなる1万語に言語化することに成功したと、情報通信研究機構・NICT脳情報通信融合研究センターの研究グループが発表しました。

脳情報デコーディング技術

脳情報デコーディング技術とは、画像や映像を見たときに感じたことを脳活動から読み取る技術で、脳と機械をつなぐ未来の情報通信技術の基盤となる技術です。

これまでに、映像を見て感じた「物体」と「動作」の内容を単語の形で言語化して脳活動から読み取る技術が開発されており、約500語の単語の形で推定した例が知られています。

しかし、500単語だけでは実際に感じた多様な内容のごく一部を表現できるに過ぎず、また、映像を見て感じる内容には、物体や動作のほかに「印象」のようなも種類の内容も含まれます。

脳情報デコーディング技術を実用化まで高度化するためには、より多様な内容を、より多くの単語に対応させて脳活動から読み取る必要があります。

100次元の言語特徴空間

今回、研究グループは大規模なテキストデータから学習された100次元の「言語特徴空間」をデコーディング技術に応用しました。

言語特徴空間とは、単語同士の意味的な近さを空間的な位置関係で表現したものです。たとえば、意味の近い「猫と犬」は近い距離で表され、意味が遠い「猫と建物」は遠い距離で表現されます。

今回、大規模テキストデータに含まれている1万語もの名詞・動詞・形容詞を空間内の1点として表現した言語特徴空間を作成して脳活動の読み取り装置に取り入れたことで、従来と比べて20倍となる1万単語を用いての解読が可能になりました。

また、従来は名詞と動詞のみで解読していましたが、今回は形容詞も含めたことで、「印象」に関する内容も解読することに成功しています。

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デコーダー構築の概要図(画像:情報通信研究機構)

今後は、映像から感じた内容を推定する精度の向上を目指し、さらには推定された内容がどのように個性や購買行動と結びついていくのかを検証していくとしています。

また、発話や筆談が困難な人たちが利用できるような、発話を必要としない言語化コミュニケーション技術の実用化もまた目指すとしています。

認知症予備群は顔を覚えるのが苦手、「目元」への視線が減る

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アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多いとされていますが、その予備群を早期に発見することは、進行を食い止めるためにも重要だとされています。

また、「軽度認知障害」はこれらの予備群を多く含むと考えられているため、軽度認知障害の発見は認知症の進行を予防することにもつながります。

軽度認知障害とは、日常生活においてはそれほど支障を及ぼさないレベルで記憶など認知機能が低下している状態です。これまでの研究から「顔の記憶力」が低下するとの報告があります。熊本大の研究グループは、さらに詳しく調査を実施しました。

認知症予備群は顔を覚えるのが苦手

熊本大学大学院社会文化科学研究科などの研究グループは、高齢の健常者と軽度認知障害それぞれ18名について、認知機能を比較する実験を行いました。

実験では、初めて見る「顔」や「家」の画像を覚えるときの視線の動き、そして記憶の成績を調べました。

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画像(Face-specific memory deficits and changes in eye scanning patterns among patients with amnestic mild cognitive impairment)

実験の結果、健常者では顔の画像と家の画像とで、記憶成績に差は現れませんでしたが、一方で軽度認知障害の人では、顔の画像の記憶成績の方が低いことが明らかになりました。

つまり、軽度認知障害の場合は、人の顔を記憶する能力が特に低下していることが確認されました。

また、顔の画像を記憶しているときの視線の動きについて調べたところ、軽度認知障害の人は健常者と比べて、「目元」への視線の集中が減り、「口元」への視線が増えるという特徴的なパターンが確認されました。

目元を見ることは、その顔を全体的に覚えるために重要なことです。軽度認知障害では、脳機能が低下することで、顔の認知処理過程に異常が生じている可能性が示唆されました。

今回の研究結果から、軽度認知障害の人の特徴が明らかになりました。認知症予備群の特徴がわかることで、認知症傾向の人を早期に発見することにつながるなど期待されます。

記憶力に効果的な2つの「香り」をファンケルが開発、認知症予防に期待

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高齢化社会が深刻化する日本では認知症の予防が大きな課題の一つとなっています。認知症の主な症状として「記憶力の低下」が挙げられますが、その予防には日常的に脳を活性化することが重要だと言われています。

ファンケルは2014年から「記憶力」に関する脳機能の研究を行っていますが、認知症予防に期待ができる、記憶力に効果的な2種類の香りを開発したと発表しています。

「香り541」と「香り622」

ファンケルでは、これまでに香りの成分である「テンピネオール」と「カンファー」そして「1,8シネオール」に記憶能力を高める効果を確認しています。

「テンピネオール」と「カンファー」は、「作動記憶」に関わる脳機能をサポートすることが確認されています。

作動記憶は、覚えた情報を最新の情報に置き換えながら行動につなげていくための記憶力で、会話や読み書き、計算といった日常生活を支える重要な能力として知られています。

一方、「1,8シネオール」は記憶力全般の機能を高める効果が期待できる成分です。

そこで研究では、これら3種類の香り成分をさまざまな比率で調合して、新たな香りである「香り541」と「香り622」を開発しました。

香りを吸入すると脳血流に変化

「香り541」と「香り622」の脳に与える効果を調べるため、28歳から44歳の健康な男女18人を対象とした実験を行いました。

実験では、「テンピネオール」単独、「香り541」、「香り622」それぞれを吸入しながらパソコン作業を行ったときの脳活動を、「光トポグラフィ装置」を使って調べました。光トポグラフィとは、脳活動によって生じる大脳皮質における血中ヘモグロビン濃度を調べる装置です。

実験の結果、「香り541」は作動記憶の中で「情報を覚える」こと、「香り622」は「最新情報に置き換える」ことに関連した脳領域で血流量が増えることがわかりました。

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香りを吸入しているときの血流量の変化量(ファンケル)

「情報を覚える」と「最新情報に置き換える」という2つの機能は、作動記憶における主な脳の機能です。

そのため、これら2つの香りは作動記憶そのものの機能を高めることが期待できることがわかりました。

今後について、ファンケルはこれらの香りがもつ機能性を、化粧品や健康食品などの開発に応用できないかと検討するとしています。

「風邪を引くと弱気になる」には生理学的メカニズムが存在した

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風邪を引いたり病気になるとメンタル的にも弱気になって、不安や恐怖を感じやすくなるものです。病気になると心が弱くなることは、単に気持ちの問題なのでしょうか。実はそうでもないことがわかってきました。免疫システムと神経系との関連から、病気と不安とのつながりが見えてきました。
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ギャンブル依存は性格によるのか、脳の機能によるのか

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ギャンブル好きは性格なのか、あるいは脳の働きに起因するのだろうか。この問題についての研究結果が発表されています。
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覚せい剤の依存を抑える新たな分子をマウスの実験で発見

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画像:富山大学大学院医学薬学研究部

薬物依存を抑制する新しい分子がマウスを使った実験で発見されました。覚せい剤の嗜好性が弱まることが、世界で初めて確認されています。

報酬系で増加する分子「TMEM168」

マウスに覚せい剤を反復的に投与すると「TMEM169」と呼ばれる分子の発現量が増加することが富山大学大学院医学薬学研究部の研究グループによって明らかになりました。

この分子は体のいたるところで発現しますが、特に脳での発現量が多く、中でも「依存」に関わる側坐核と呼ばれる部位での発現量が著しく増加することが確認されました。

そこで、ウイルスベクターを用いてTMEM168の発現を強制的に増加させてみたところ、覚せい剤によってもたらされる運動量の増加や嗜好性が押さえられることが明らかになりました。

薬物依存では、ドパミンという脳内の神経伝達物質の働きが重要ですが、覚せい剤の投与によって増加する、細胞外ドパミンの量をTMEM168が抑制するという。

また、TMEM168は脳の神経細胞内でゴルジ体の中に存在して「オステオポンチン」と相互作用すること、オステオポンチンをマウスの脳内に注入すると覚せい剤依存が抑制することから、TMEM168はオステオポンチンを介して薬物依存を抑制すると考えられます。

今回の研究結果は、世界でも社会問題となっている薬物乱用の解決につながる可能性があると期待されます。

脳のサイズはオスが大きいが神経細胞の数はメスが上回る

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男と女では体の構造やサイズに違いがあるのは誰でも知っていることです。では、脳に男女差はあるのでしょうか。
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脳内のコンドロイチン硫酸が脳の成長期をコントロールしている

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新潟大学の研究グループが、脳内のコンドロイチン硫酸の量に応じて、神経回路の成長期がコントロールされることを発見しました。

少量のコンドロイチン硫酸に子どもの脳の成長期を促す作用があることが解明されるとともに、病気の治療法開発にもつながる可能性があると期待されます。

脳が発達する臨界期

子どものころは一般的に、大人になってからと比べて外国語やスポーツ、音楽などさまざまなことを習得するのが早いものです。

この理由は、大人と比べて雑念がないということもあるかも知れませんが、神経回路を活発につくる「臨界期」と呼ばれる成長期があるからです。

子どものころ、目でみた情報は大脳の視覚野に送られますが、臨界期に片目をふさいでしまうと、ふさいだ方の目からの情報よりも開いた方の情報を多く受け取るように神経回路が作り変えられます。その結果、ふさいだ方の目は視力が弱くなり、大人になってからも回復しないことが知られています。

このように、子ども時代には「臨界期」と呼ばれる脳の仕組みが存在しています。

臨界期には興奮性と抑制性の神経細胞が働く

これまでの研究では、臨界期が現れるときに抑制性の神経細胞と興奮性の神経細胞がうまくコントロールされていることがわかっています。車で例えると、ちょうどブレーキとアクセルの関係に例えることができます。

また、研究結果から大脳の「PV細胞」と呼ばれる抑制性神経細胞の一つでは、「コンドロイチン硫酸」を豊富に含む網目構造が構築されることが明らかになっています。

この網目構造は、大人の脳で神経回路の形成を抑制することが報告されており、臨界期の子どもにおいても少量のコンドロイチン硫酸が存在することがわかっており、研究グループは、この少量のコンドロイチン硫酸が臨界期の誘導に必要であることを解明しました。

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脳内コンドロイチン量で臨界期の始まりを終わりが決定(画像:新潟大学)

臨界期をコントロールして病気の治療に

臨界期は、神経回路が集中的に作られる脳の成長期と考えられます。もし臨界期をコントロールする仕組みの全容が解明されれば、大人の脳に臨界期を安全に誘導することで、脳機能の再建など新しい治療法の開発につながる可能性があります。

また、近年では臨界期やPV細胞の機能異常が精神疾患の一因になることが指摘されています。将来的にはコンドロイチン硫酸によるPV細胞の機能の改善が、精神疾患の症状の軽減にもつながるのではないかと期待されます。