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ゼロの概念を認識する「ゼロ細胞」をサルの脳で発見

「ゼロ」の概念 サル認識か 東北大院発見

河北新報

 「ゼロ」の概念に強く反応する細胞「ゼロ細胞」をサルの脳に発見したと、東北大の虫明元教授らの研究グループが英科学誌Scientific Reportsで発表した。人間が「無料」に引かれる不合理な行動を解明できるかも知れないという。

 研究グループは、0~6個の白丸が表示されるモニター画面をニホンザルに見せて「数合わせ」をさせる実験を行った。白丸は2回表示され、2回目に表示された点の数をレバー操作で増減させて1回目の点の数に合わせる。訓練の結果、正答率は約72%になった。

 次に、数に反応する細胞があることが知られていた脳の頭頂部に電極を刺して脳の活動を計測した。その結果、白丸がひとつもない「ゼロ」のときに反応する細胞「ゼロ細胞」が見つかった。

 ゼロ細胞には、ゼロにだけ反応する「デジタルゼロ細胞」と、ゼロ以外にも反応する「アナログゼロ細胞」の2種類があるという。2つのゼロ細胞は頭頂葉の細胞の約16%を占めるとみられる。

 虫明教授は「値段が無料になると必要ない物でも欲しくなってしまうという人間の不合理な行動も、ゼロ細胞の研究で解明できるかもしれない。また、数量を認知できない認知症患者の治療に応用できる可能性もある」としている。

参考:河北新報/朝日新聞