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バケツ1杯の水から生息する魚の種類を判定 DNAメタバーコーディング技術

「水」から魚種判定 バケツ1杯、未知種発見も 世界初、DNA抽出し解析 千葉県中央博など

 バケツ1杯ほどの水を採取して、含まれるDNAを解析して生息する魚の種類を判定できる世界初の技術を開発したと、千葉県立中央博物館や東京大などの研究グループが発表した。大規模な生物多様性モニタリングが可能になったり、深海などで未知の魚の検出にも期待できるという。

 環境中のDNAを分析して生物の種類を判定する「メタバーコーディング」は主に微生物を対象とされていたが、研究グループは魚の体表の粘液や糞とともに水中に放出された「環境DNA」から生物種を判定する技術を開発した。

 採取した水を0.7マイクロメートルのフィルターでろ過してDNAを抽出して、魚の種類ごとに異なる塩基配列を探し出す。わずか数リットル程度の水から、そこに生息する魚の種類を数日間で判定できる。比較可能なデータは5千種近くに達しているという。

 同博物館の宮正樹主席研究員は「この技術により、いつでもどこでも簡単に魚の種類を特定できる。魚類多様性のモニタリングに“ビッグデータの時代”が来たといえる」としている。

参考:千葉日報