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寄生バチの幼虫、クモの脳神経を操作して通常と違う網をつくらせる

ハチの幼虫がクモの脳神経を操る

 クモに寄生したハチの幼虫が、クモの脳神経を操ることでさなぎになるのに適した網を作らせる仕組みを解明したと、神戸大の研究グループが発表した。脳神経を操作してクモの脱皮時と酷似した網を作らせるという。

 クモヒメバチはクモの体表に産卵する。その幼虫はクモに通常とは異なる網を張らせた後で食べ殺し、さなぎ・成虫となるが、詳細な仕組みは不明だった。

 クモの網は通常時だとらせん状をしているが、ハチの幼虫が作らせた網は単純な放射状で、鳥などの衝突を回避するため紫外線を反射して光るなどクモの脱皮時の網と酷似している。

 研究グループによると、クモの体内に何らかの物質を注入してクモの脳神経を操作しているという。

 また、作らせた網はクモの脱皮時の網と比べると中央部の強度が約30倍高いこともわかった。ハチは身動きができないさなぎの状態で10日間ほど過ごすためだという。

 神戸大の高須賀圭三研究員は「ハチがどんな物質を使ってクモの脳を操り、網を作らせているのかを今後解明したい」としている。

参考:神戸新聞