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iPS細胞から脳や脊髄など、神経細胞を作り分ける技術を開発

iPSから神経細胞

 iPS細胞からさまざまな神経細胞を作り分ける技術を、慶応大の岡野栄之教授や順天堂大の赤松和土特任教授らの研究チームが開発した。神経難病の診断や治療法の開発が期待できるという。

 発生過程で神経系が形成される際、神経管と呼ばれる1本の管が小さな領域に細分化され、複雑な構造に変化して脳や脊髄となる。その小さな領域への変化には、ウィント(Wnt)、レチノイン酸(RA)、ソニックヘッジホッグ(SHH)が関与していることが知られている。

 研究チームはiPS細胞から神経細胞を作製する際に、これら3種類の物質の働きを調節する薬剤の濃度を変化させるだけで、前脳から脊髄までの脳領域の神経細胞を作り分けることに成功した。

 アルツハイマー病と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者由来のiPS細胞から神経細胞を作製して、それぞれの疾患の病態を再現できることも確認したという。

(via 日刊工業新聞