ヒトiPSからオリゴデンドロサイト前駆細胞へ分化、損傷脊髄で再髄鞘化に成功

2016年1月24日　バイオニュース／ニュース，

　ヒトiPS細胞から効率的に「オリゴデンドロサイト前駆細胞」へ分化させる方法を開発し、マウスの損傷脊髄で再髄鞘化に成功したと、慶應義塾大の研究グループが科学誌「Stem Cell Reports」で発表した。

　脊髄損傷に対して神経幹細胞を移植して機能回復する際に、移植細胞の再髄鞘化が重要であることが知られている。髄鞘は、神経細胞から伸びる軸索を覆うことで絶縁シートのように働き、脊髄内の速い神経伝達を可能にする。

　しかし、ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞は主にニューロンに分化し、髄鞘の形成を担うオリゴデンドロサイトへの分化は進みにくいという課題があった。

　脊髄損傷について、従来の細胞移植でも有意な運動機能の回復が認められていたが、今回の成果によってさらなる機能回復が期待できる可能性があるという。