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生体内部を高度に認識する「糖鎖クラスター」を構築、創薬や診断分子の開発に期待

 アルブミンに対してさまざまな構造をもつ「N-結合型糖鎖」をクラスター化して、マウス内での排出経路を制御したり肝臓の特定の細胞を高度に認識することに成功したと、理化学研究所の田中克典准主任研究員らの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。

 生体内のタンパク質や細胞表面では、多数の糖鎖分子がクラスターを形成して、複数の分子が複数の受容体と対応する「パターン認識」を行っている。

 研究グループは、独自開発の「理研クリック反応(6π-アザ電子環状反応)」を使って複数のN-結合型糖鎖をアルブミンに導入して、アルブミン表面に生体内で起きている糖鎖クラスター環境を構築した。

 この糖鎖クラスターの挙動をマウス内で解析することで、糖鎖構造によって糖鎖の排出経路や臓器細胞選択的な集積を高度に制御できることを発見した。

 理研クリック反応を利用すると、さまざまな糖鎖構造を使って自在に糖鎖クラスターを構築できる。今後は糖鎖を用いた創薬研究や医療診断分子の開発につながると期待できる。

(via 理化学研究所