バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 3.29 Fri

驚異的な接着タンパク質の立体構造の一部を解明、微生物固定化技術の開発に期待

 微生物をさまざまな材料表面に強固に接着させる「巨大ナノファイバータンパク質」の立体構造の一部を解明したと、名古屋大の堀克敏教授らの研究グループが米科学誌「The Journal of Biological Chemistry」で発表した。微生物固定化技術の基盤となるメカニズムの解明につながるという。

 研究グループはこれまでに、高い汚染物質分解能力と付着性をもつバクテリア「アシネトバクター」属細菌株から強固な接着機能をもつタンパク質「AtaA」を発見した。

 このタンパク質は3630アミノ酸残基からなる巨大なポリペプチド鎖3本で構成される巨大なタンパク質だが、立体構造は明らかになっていなかった。

 研究グループは、AtaAタンパク質の一部の立体構造をX線結晶構造解析法を用いて解明することに成功した。

 その結果、AtaAは三本のポリペプチド鎖が「三つ編み」のように複雑に絡み合って一本のファイバーを形成することで強靭な構造をとっていることがわかった。

 また、ファイバー上には「ヒンジ」のような柔軟な構造が散りばめられており、その部分で自由に曲がることができることも明らかになった。

 AtaAは柔軟かつ強靭な性質を発揮する分子構造をもつことで、タンパク質の接着部位の固定表面へのアクセスを容易にして、微生物が高い接着力を発揮しているという。

(via 名古屋大学