匂いを感じる嗅上皮において、異なる2種類の細胞がモザイク状に並ぶ仕組みを解明したと、神戸大の富樫英助教らの研究グループが科学誌「The Journal of Cell Biology」で発表した。
すべての細胞は、同じ種類の細胞どうしを結びつける分子「カドヘリン」によって結合している。カドヘリンは、細胞ごとにさまざまな種類があり、同じカドヘリンをもつ細胞は結合するが異なる場合は分離することが知られている。
一方、嗅上皮の2種類の細胞(嗅細胞と支持細胞)は、異なるカドヘリンをもつにも関わらずモザイク状に混ざり合うが、これまで具体的なメカニズムはわかっていなかった。
研究グループは、細胞が市松模様に並ぶのに必要な既知の分子「ネクチン」とカドヘリンの連携に着目し、モザイクパターンがつくられる過程を数理モデルを使って解析した。
その結果、嗅細胞と支持細胞の間で異なるネクチンが結合した後で細胞の境界に多くのカドヘリンが集まること、さらにその量に違いが生じることで接着力の差を生み、モザイクパターンを形成することがわかった。
また、異なるカドヘリンと異なるネクチンをもつ2種類の細胞を作製して両者を混ぜて培養したところ、嗅上皮のパターンに対応する、片方の細胞のみが混ざる偏ったモザイクパターンを作製することに成功した。
参考:神戸大学