植物が光合成を行う過程で発生する有害な分子の働きを抑制する遺伝子を突き止めたと、神戸大の三宅親弘准教授らの研究グループが科学誌「Plant Physiology」で発表した。水不足など環境ストレス下での植物の生育に関する研究に貢献すると期待される。
植物が光合成を行う際、余った光エネルギーが周りの酸素と反応して活性酸素が発生する。この活性酸素は葉緑体の内部でチラコイド膜を分解し、植物にとって有害な活性分子「RCS」を生成する。
研究グループは、RCSの働きを抑制するための遺伝子のうち、光合成や呼吸などへの影響がわかっていない「AOR」に着目した。
シロイヌナズナを明暗サイクル環境(昼16時間、夜8時間)下で観察したところ、AORを欠損した種は野生種と比べて十分に生育しないことがわかった。また、昼間に光合成でデンプンを蓄積するが夜間のデンプンの分解が抑制されていることもわかった。
一方、24時間昼間の環境で観察すると野生中とAOR欠損種の生育に差はなかった。
昼間の光合成で蓄積されたRCSが、細胞質やミトコンドリアなど植物の呼吸に関する物質に影響を及ぼし、呼吸速度が低下することで植物の生育が阻害されるという。
参考:神戸大学