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紫外線によるDNA損傷を修復する仕組みを分子レベルで解明

 紫外線で傷ついたDNAをスムーズに修復する仕組みを分子レベルで解明したと、神戸大の菅澤薫教授らの研究グループが科学誌「Nature」で発表した。皮膚がんの抑制につながる創薬への応用などが期待される。

 DNA損傷は1日に1細胞あたり数万回以上も発生するとされており、DNA修復は細胞が正常な機能を発揮して生存するために必要不可欠な機能である。

 紫外線によってDNAが損傷すると、「DDB1-CUL4A-RBX1(CRL4A)」にDDB2が結合したタンパク質複合体「CRL4ADDB2ユビキチンリガーゼ」が損傷を見つけて結合し、周囲のタンパク質のユビキチン化を引き起こす。

 この時、CRL4Aを構成するCUL4Aに小さなタンパク質「NEDD8」が結合することがユビキチン化の活性化に必要であること、DNA損傷がない場合には「CSN」と呼ばれるタンパク質複合体によってNEDD8が取り除かれてCRL4Aが不活性化されていることがわかっていた。

 しかし、DNA修復機構で重要なプロセスであるユビキチン化がどのように制御されているかについて、詳細な仕組みはわかっていなかった。

 研究グループは、低温電子顕微鏡を用いてタンパク質複合体の立体構造を解析した。

 その結果、CRL4ADDB2ユビキチンリガーゼと結合することでCSNの構造変化が引き起こされ、これによりNEDD8をCUL4Aから取り除くことができるようになることがわかった。

 また、損傷したDNAとDDB2が結合すると、CSNがCRL4ADDB2ユビキチンリガーゼと結合できなくなることが明らかになった。

参考:神戸大学