バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 4.17 Wed

脂肪組織のインスリンシグナルが記憶の維持に関係、加齢性の記憶低下の解明に期待

脂肪細胞におけるインスリンのシグナルが記憶の維持に必要でることがわかったと、千葉大の研究グループが科学誌「Cell Repoirts」で発表しました。加齢による記憶低下の原因解明につながると期待されます。




インスリンは血糖値の調節や代謝制御で重要な働きをしますが、一方で学習・記憶に関係する可能性や、糖尿病などのインスリンの異常が認知症のリスクと関係する可能性が示されています。

ショウジョウバエは老化するとすると記憶力が低下することが知られています。研究グループは、ショウジョウバエを使ってインスリンが記憶を制御するメカニズムを調べました。

インスリンシグナルを抑制したショウジョウバエを作製して学習・記憶能を測定したところ、インスリンシグナルが記憶の維持に必要なことがわかりました。

また、特に脂肪組織におけるインスリン受容体の発現が必要であることが明らかになりました。

さらに、ショウジョウバエがもつ8種類のインスリン様成長因子の中でも、「Dilp3」が記憶の維持に必要であることがわかりました。

また、老化に伴ってDilp3の発現が低下することから、老化したショウジョウバエでDilp3を過剰発現したところ、記憶力が向上することも確認されました。

これらのことから、若いショウジョウバエではDil3と脂肪組織のインスリンシグナルで記憶が維持されること、老化したショウジョウバエではDilp3の発現が低下して記憶が低下することが明らかになりました。