バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 4.17 Wed

肥満になると血糖値が高くなる分子メカニズムを解明

肥満になると血糖値が高くなる仕組みを解明したと、東北大の研究グループが科学誌「Cell Reports」で発表しました。糖尿病やメタボリックシンドロームの治療につながると期待されます。




肥満になると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じることで、血糖値が上昇します。

インスリン抵抗性は、脂肪組織にマクロファージの影響で炎症が起こることで生じることが知られています。マクロファージには、炎症を強めるM1型と炎症を抑えるM2型があります。

研究グループは、肥満した脂肪細胞では「CHOP」と呼ばれるタンパク質が増加することを突き止めました。CHOPは、細胞内でタンパク質合成が過剰になる「小胞体ストレス」によって増加するタンパク質です。

CHOPをなくしたマウスでは、肥満すると脂肪組織のマクロファージは増えますが、M2型が多いままで、インスリン抵抗性や糖尿病になりにくいことがわかりました。

また、肥満するとマクロファージをM2型に誘導する「Th2サイトカイン」が減少することがわかりました。さらに、CHOPをなくした細胞ではTh2サイトカインの減少が起きにくいことも明らかになりました。

つまり、肥満になると脂肪細胞の小胞体ストレスでCHOPが増加し、Th2サイトカインが減少するために、M1マクロファージが増加して脂肪組織に炎症が起こります。その結果、インスリン抵抗性が生じて糖尿病につながるメカニズムが明らかになりました。

参照元