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耳鳴りの症状に関わる神経活動を発見

耳鳴りの原因となる神経活動の関与を突き止めたと、自然科学研究機構生理学研究所などの研究チームが科学誌「Journal of Neurophysiology」で発表しました。




耳鳴りは一般的な病気ですが、その発生メカニズムには不明な点が多く、治療方法も限られています。また、耳鳴りの診断は患者の主観的な訴えに基づいており、客観的な診断方法がありません。

研究チームは、聴力に左右差がなく片耳だけ耳鳴りが聞こえる患者をリラックスした状態にして、静寂下と雑音下で耳鳴りと同じ周波数の音を聞かせました。

そのときの脳の反応を測定したところ、雑音の中から音を聞き分けるときの脳活動が、耳鳴りが聞こえる耳では弱くなっていることがわかりました。

雑音下で音を聞き取る場合、通常は抑制系の神経活動が重要な役割を果たします。つまり、耳鳴りが聞こえる耳では、不要な神経活動を抑える抑制系の神経活動が低下していることがわかりました。

これまでは、耳鳴りは難聴によるのか、あるいは脳活動の変化によるのかよくわかっていませんでした。

今回の研究結果から、耳鳴りの症状に重要な神経活動が明らかになり、発症メカニズムの解明や客観的な診断方法の開発につながると期待されます。

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