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脳内の「バースト」発生の予兆を計測、てんかん発作の予測ができるか

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脳内では、外部からの入力がないのに神経細胞の集団が自発的に高頻度で活動する「自発同期バースト」と呼ばれる現象があります。この現象のメカニズムを明らかにすることは、脳の活動を理解するほかに、てんかん発作などを予測することにつながります。




そのため、自発同期バースト現象がどのようにして発生するのか、その原理の解明が望まれていました。

理化学研究所などの研究チームは、この現象のメカニズムの解明やその予兆を捉えるため、独自の手法を用いて解析しました。

研究チームは、デジタルカメラなどで用いられているCMOSセンサーを平面上に高密度で並べた「CMOSセンサーアレイ」に神経細胞を培養。これを用いることで、神経細胞に発生する電気的な活動の位置情報と時間情報を高精度で計測することが可能になります。

自発同期バーストは、一見して不規則に発生しているようにみえますが、実は何らかの規則があって予測することができるのではないか。研究チームは、この現象において隠された「予兆」を発見するために、「時間遅れ再構成」というデータ解析を行いました。

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研究の概要と応用分野:出典

この解析では、各細胞に起こる活動について「一定時間ずつずらした変数の組」を座標として、状態の時間変化を追います。

この解析手法を用いたところ、自発同期バーストの予兆を示す特徴を捉えることに成功しました。

今回の研究結果から、てんかん発作を高い精度で予測したり、脳内における情報処理をコントロールするための技術などに応用できる可能性があるとしています。