脳科学などバイオ研究のニュースや話題 11.23 Thu
脳のヘルスケア
自閉スペクトラム症者のコミュニケーション障害、他者のイレギュラーなリズムへの適応が関係

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自閉スペクトラム症には多くの特徴があり、その個人差が大きいことが知られています。その中でも「社会的コミュニケーション」の障害や「こだわり傾向」の強さが大きな特徴であることが明らかになっています。
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歯周病とアルツハイマー病の関係が分子レベルで明らかに

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認知症のおよそ6割を占めるアルツハイマー。その原因はアミロイドベータと呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積することと言われていますが、名古屋市立大などの研究チームによって「歯周病」との関係が分子レベルで明らかにされました。これは世界初の発見です。
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認知症予備群は顔を覚えるのが苦手、「目元」への視線が減る

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アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多いとされていますが、その予備群を早期に発見することは、進行を食い止めるためにも重要だとされています。

また、「軽度認知障害」はこれらの予備群を多く含むと考えられているため、軽度認知障害の発見は認知症の進行を予防することにもつながります。

軽度認知障害とは、日常生活においてはそれほど支障を及ぼさないレベルで記憶など認知機能が低下している状態です。これまでの研究から「顔の記憶力」が低下するとの報告があります。熊本大の研究グループは、さらに詳しく調査を実施しました。

認知症予備群は顔を覚えるのが苦手

熊本大学大学院社会文化科学研究科などの研究グループは、高齢の健常者と軽度認知障害それぞれ18名について、認知機能を比較する実験を行いました。

実験では、初めて見る「顔」や「家」の画像を覚えるときの視線の動き、そして記憶の成績を調べました。

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画像(Face-specific memory deficits and changes in eye scanning patterns among patients with amnestic mild cognitive impairment)

実験の結果、健常者では顔の画像と家の画像とで、記憶成績に差は現れませんでしたが、一方で軽度認知障害の人では、顔の画像の記憶成績の方が低いことが明らかになりました。

つまり、軽度認知障害の場合は、人の顔を記憶する能力が特に低下していることが確認されました。

また、顔の画像を記憶しているときの視線の動きについて調べたところ、軽度認知障害の人は健常者と比べて、「目元」への視線の集中が減り、「口元」への視線が増えるという特徴的なパターンが確認されました。

目元を見ることは、その顔を全体的に覚えるために重要なことです。軽度認知障害では、脳機能が低下することで、顔の認知処理過程に異常が生じている可能性が示唆されました。

今回の研究結果から、軽度認知障害の人の特徴が明らかになりました。認知症予備群の特徴がわかることで、認知症傾向の人を早期に発見することにつながるなど期待されます。

記憶力に効果的な2つの「香り」をファンケルが開発、認知症予防に期待

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高齢化社会が深刻化する日本では認知症の予防が大きな課題の一つとなっています。認知症の主な症状として「記憶力の低下」が挙げられますが、その予防には日常的に脳を活性化することが重要だと言われています。

ファンケルは2014年から「記憶力」に関する脳機能の研究を行っていますが、認知症予防に期待ができる、記憶力に効果的な2種類の香りを開発したと発表しています。

「香り541」と「香り622」

ファンケルでは、これまでに香りの成分である「テンピネオール」と「カンファー」そして「1,8シネオール」に記憶能力を高める効果を確認しています。

「テンピネオール」と「カンファー」は、「作動記憶」に関わる脳機能をサポートすることが確認されています。

作動記憶は、覚えた情報を最新の情報に置き換えながら行動につなげていくための記憶力で、会話や読み書き、計算といった日常生活を支える重要な能力として知られています。

一方、「1,8シネオール」は記憶力全般の機能を高める効果が期待できる成分です。

そこで研究では、これら3種類の香り成分をさまざまな比率で調合して、新たな香りである「香り541」と「香り622」を開発しました。

香りを吸入すると脳血流に変化

「香り541」と「香り622」の脳に与える効果を調べるため、28歳から44歳の健康な男女18人を対象とした実験を行いました。

実験では、「テンピネオール」単独、「香り541」、「香り622」それぞれを吸入しながらパソコン作業を行ったときの脳活動を、「光トポグラフィ装置」を使って調べました。光トポグラフィとは、脳活動によって生じる大脳皮質における血中ヘモグロビン濃度を調べる装置です。

実験の結果、「香り541」は作動記憶の中で「情報を覚える」こと、「香り622」は「最新情報に置き換える」ことに関連した脳領域で血流量が増えることがわかりました。

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香りを吸入しているときの血流量の変化量(ファンケル)

「情報を覚える」と「最新情報に置き換える」という2つの機能は、作動記憶における主な脳の機能です。

そのため、これら2つの香りは作動記憶そのものの機能を高めることが期待できることがわかりました。

今後について、ファンケルはこれらの香りがもつ機能性を、化粧品や健康食品などの開発に応用できないかと検討するとしています。

覚せい剤の依存を抑える新たな分子をマウスの実験で発見

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画像:富山大学大学院医学薬学研究部

薬物依存を抑制する新しい分子がマウスを使った実験で発見されました。覚せい剤の嗜好性が弱まることが、世界で初めて確認されています。

報酬系で増加する分子「TMEM168」

マウスに覚せい剤を反復的に投与すると「TMEM169」と呼ばれる分子の発現量が増加することが富山大学大学院医学薬学研究部の研究グループによって明らかになりました。

この分子は体のいたるところで発現しますが、特に脳での発現量が多く、中でも「依存」に関わる側坐核と呼ばれる部位での発現量が著しく増加することが確認されました。

そこで、ウイルスベクターを用いてTMEM168の発現を強制的に増加させてみたところ、覚せい剤によってもたらされる運動量の増加や嗜好性が押さえられることが明らかになりました。

薬物依存では、ドパミンという脳内の神経伝達物質の働きが重要ですが、覚せい剤の投与によって増加する、細胞外ドパミンの量をTMEM168が抑制するという。

また、TMEM168は脳の神経細胞内でゴルジ体の中に存在して「オステオポンチン」と相互作用すること、オステオポンチンをマウスの脳内に注入すると覚せい剤依存が抑制することから、TMEM168はオステオポンチンを介して薬物依存を抑制すると考えられます。

今回の研究結果は、世界でも社会問題となっている薬物乱用の解決につながる可能性があると期待されます。

マリファナや合成大麻の成分が「けいれん発作」を引き起こすことを発見

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天然のマリファナに含まれるカンナビノイドや合成カンナビノイドが重篤なけいれん発作を引き起こすことが、マウスを使った実験で明らかになりました。マリファナの危険性を改めて明確にするとして、研究グループが警鐘を鳴らしています。
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高齢者の「絵本読み聞かせ」ボランティア活動で海馬の萎縮が抑制される

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高齢者による絵本の読み聞かせボランティア活動が、加齢による海馬の萎縮を抑制する可能性があると、東京都健康寿命医療センター研究所の研究グループが国際雑誌に発表しています。
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肥満がうつ病の認知機能低下を悪化させる

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一般的に「うつ病」と呼ばれている病気のなかでも、とくに治療が必要な典型的なものは「大うつ病性障害」と言います。気分が落ち込んだり、興味や関心が低下するなどの症状に加えて、記憶や学習などの認知機能までもが低下します。近年、この大うつ病性障害と肥満とでは共通の病態があることが指摘されていました。
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DHAは脳内の女性ホルモンを介して「てんかん発作」を抑制する

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青魚に含まれる油として知られているDHA(ドコサヘキサエン酸)は、人間の体内にも存在しており、脳や目、心臓などに多く含まれると言われています。DHAは、必須脂肪酸である「オメガ3脂肪酸」の一種であって、不飽和脂肪酸に分類されます。
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エアコンの風、人が感じない「不感気流」でも睡眠に悪影響の可能性

睡眠中のエアコンは、人が感じない程度の弱い風であっても睡眠の質に影響を及ぼす可能性があると、豊橋技術科学大の研究グループが科学誌「Energy and Building」で発表しました。
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