日差しも穏やかになって、散歩なども気持ちがよい季節になりました。もし近くに公園など自然に触れられる場所があれば、積極的に散歩に出かけたほうがよいかも知れません。なぜなら「木が私たちを健康にしてくれる」からです。そんな論文が最近発表されているようです。
自然環境と住民の健康
路上の木の本数と、そこで生活している人の健康状態の相関を調べた研究結果が、Natureで発表されています。
研究チームは、カナダのトロントで道路ごとの木の本数を調査し、そこに済む住民の糖尿病や高血圧、心臓病、肥満などの健康状態についてアンケートを実施しました。
その結果、木が多い道路沿いに住んでいる人は、木の少ない道路沿いの住民たちよりも健康的であることがわかりました。なんと、1ブロックに10本の木が植えられていると、7歳も若い健康状態になるという。
自分自身で判断した健康状態を自己申告するアンケートですので、もちろん正確とは言い切れませんが、少なくとも本人がどの程度「健康である」と感じているかは反映されていることになります。
自然でのウォーキングとメンタルヘルスの関係
スタンフォード大の研究チームが7月に発表した論文では、自然の中で散歩することがメンタルヘルスに与える影響について調べています。
実験では、被験者を公園や自然の中を散歩するグループと街中を散歩するグループに分けました。それぞれ90分間ウォーキングします。
その結果、自然の中を歩いたグループは精神疾患のリスクに関連する脳の領域「膝下野」の活動が低下していたそうです。さらにこのグループでは、「沈思黙考」や「自分のネガティブな面にこだわる連続的思考」が少ないという結果が出たそうです。
この研究チームはほかの論文でも、自然の中で行うウォーキングが「ある種のタスクにおける認知能力、たとえば言語記憶力も向上した」とする研究結果を発表しています。
木が死んでしまうと死者が増える
米国では「アオナガタマムシ」が流入したことで計1億本以上の木が死んでしまったそうです。そのため、木のある場所とない場所を比較する調査が実施されました。
米国森林局が分析したところ、ほとんどの木が死んでしまった地域では、呼吸器・循環器系の病気で死亡した人の数が増加していたそうです。
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木々や自然と触れることが、どのように人間の健康に影響を与えているか詳しくはわかりません。しかし、確かに何らかの効果は存在するのかも知れません。
朝晩は少し冷え込む季節になってきましたが、たまには気分転換に自然の中でウォーキングでもいかがでしょうか。
(via GIZMODE image Brandon Oh)