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炭水化物の摂取量を減らすと血中の飽和脂肪酸の濃度が下がる

飽和脂肪酸の健康への悪影響が知られていますが、なんと食事などで摂取量を増やしても血中濃度は上昇しないという研究結果が報告されています。一方で、炭水化物の場合は要注意だそうです。




実験では、参加者16人の食事を4カ月半にわたり厳しく管理しました。食事の内容は3週ごとに変更されて、食事に含まれる炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸の量が調整されました。

すると、食事中の炭水化物を減らして飽和脂肪酸を増やした場合、血液中の飽和脂肪酸の総量は増加しなかったそうです。逆に大半の参加者は血中飽和脂肪酸量が低下したという。

つまり、炭水化物を減らすと体内の飽和脂肪酸が減るわけです。食事中の飽和脂肪酸の量が増えたとしてもです。

炭水化物が非常に少ない食事をとると、体は飽和脂肪酸を優先的に燃焼させる、という説明がなされています。そして、これまで飽和脂肪酸の多い食べ物をたべることは体によくないこととされてきましたが、「実際には食事に含まれる飽和脂肪酸の量と病気とは関連がない」ということを裏付ける証拠にもなるわけです。

「フレンチパラドックス」という言葉があります。フランス人は喫煙率も高く、かつ飽和脂肪酸が豊富に含まれる食事をとるにも関わらず、心臓病にかかる割合が低いというものです。

これを説明するひとつの説として、「赤ワイン」の効果がよくいわれてきました。つまり、赤ワインには心臓疾患の発生率を減少させる効果があり、フランス人は赤ワインをよく飲むから飽和脂肪酸をよく食事でとっていても心臓病にかかりにくいということです。

ところが、最近では赤ワインの効果に疑問がもたれてきていました。

実はフランス人の食事情に関する調査の結果があります。フランス版国民栄養調査(フランス:18-79才、日本:20才以上の結果を比較。日本は平成23年国民健康・栄養調査より)に基づいて、フランス人が毎日どんな食品を消費し、どのくらいの栄養を摂取しているかを日本人と比較します。

【食事中の3大栄養素の割合】
・フランス人:炭水化物44%/たんぱく質17%/脂質39%
・日本人:炭水化物56%/たんぱく質15%/脂質26%
(参考:http://www.j-milk.jp

どうですか?なんとフランス人の食事をみると、脂質の割合はやはり多いのですが、その一方で、炭水化物の割合が低くなっています。もしかすると、フランス人が心臓病にかかりにくい理由は、炭水化物の摂取量が少ないために血中の飽和脂肪酸濃度が低くなっているから、という可能性がありますね。

これは、世界で初めて提唱する新説です。

(画像:T M