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世界で初めて「恐竜の脳」の化石を発見、良好な保存状態で脳組織が残された理由とは?

世界で初めて、恐竜の「脳」の化石が発見されています。イギリスの海岸で発見されたこの化石、いったいなぜ良好な状態で保存されていたのか。




発見された化石は、ヨーロッパで1億年以上も前に生息していた「イグアノドン」の近縁種のものとみられるそうです。海辺で何らかの理由によって死に、そのまま頭が水底の堆積物の中に埋まったものと考えられるという。

恐竜図鑑

2004年、アマチュアの化石ハンターがイングランドのサセックスで発見したものを、ケンブリッジ大学の研究者らが走査型電子顕微鏡を使って分析しました。

一般的に言えることですが、陸上生物の脳組織は比較的柔らかいため、通常は短時間で腐敗が進むことから化石となって残ることは極めてまれなことです。そのため、これまでに「恐竜の脳の化石」は発見されることがありませんでした。

しかし、酸素濃度が低く、そして酸性度が高い環境下では腐敗が進みにくく、組織が良好な状態で保存されることがあります。

どうやら今回発見された化石は、冷涼な水辺で死んだイグアノドンの頭部が水中に沈みこみ、酸性の水にさらされて長期間保存されたために生み出された偶然の産物であったようです。

今回見つかった脳の化石はワニや鳥類の化石と似ており、サイズは握り拳ほどでした。草食恐竜にしては大きいとのことで、もしかすると恐竜たちは、これまでに考えられていたよりも大きな脳を持っていた可能性があるという。

参考:WIRED・CNN