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科学的な大発見が得られるのは若いうちだけじゃない

科学的な大発見は、その成果を生み出した科学者の研究人生の中で比較的「早期」に得られていると考えられています。はたして本当でしょうか?数千人の研究者の研究成果を分析した結果が発表されています。




研究者たちはそのキャリアのなかで、大きなものから小さなものまでいくつもの研究成果を生み出し続けます。

そのなかで、よりインパクトのある大きな発見についていえば、研究人生のなかでも比較的早い段階で生まれていることが、これまでの分析でも明らかにされています。

その理由については、年齢とともに「創造性」が失われていくためだとも考えられています。そうであれば、もし大きな発見を生み出したければ、なるべく若いうちに成果を出す必要があるようにも思えます。

この問題について真剣に取り組んだ分析結果が科学誌「サイエンス」で発表されています。

研究グループは、数千人規模の研究者の研究論文を分析することで、各研究者のキャリアのなかでいつごろにインパクトの大きな成果が生まれたかを調べました。

その結果、大きな研究成果は各研究者らの人生の中で「ランダムに」生まれていることがわかりました。これまでの分析とは違っているようですが、これには理由があるようです。

研究者らはそのキャリアの中で研究成果を生み出していきますが、その「生産性」については常に一定ではありません。

研究成果の「生産性」については論文の数で明らかになりますが、その生産性については研究人生のスタートから20年間が大きいため、インパクトのある成果も早期に得られる確率が高くなります。

つまり、年齢とともに大きな成果が得られにくくなる理由があるとしたら、それは「創造性」が失われていくわけではなく、研究成果の「生産性」が低下していくことが原因となっているようです。

年齢とともに研究以外のさまざまな職責が多くなるものですが、もし研究成果の生産性を落とすことなく年齢を重ねていくことができれば、いくつになっても「大発見」を得る可能性は残されているというわけですね。

Quantifying the evolution of individual scientific impact

参考:WIRED・Science