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時間をかけて熟考してからの失敗が、高い学習効果を生む

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学校の定期試験や受験、あるいは資格試験などで最も重要な勉強法のひとつに、「問題を解く」ことが挙げられます。

問題を自分の力で解答したのちに正解を確認して、自分の中で間違っていた記憶や解法を修正していくことで、着実に学習を進めていくことができるからです。




その際、より学習効果を高めるためにはどのように解答していくのがよいのでしょうか。これについて、ラットを用いた実験で効果的なやり方につながる可能性の高い研究結果が得られています。

問題文を読んだときに、少しの迷いもなく正解が分かる場合もあれば、ちょっと自信がなかったり、あるいは全くわからない場合もあります。

はっきりと正解がわからない問題を解く場合において、とりあえず素早く結論を導いて解答してしまって正解を確認するのか、あるいは分からないなりにも長い時間をかけて迷ってから正解を確認するのか、どちらがよいでしょうか。

東京大の研究グループは、2つの選択肢の中から正しい方を選択するという二択課題をラットに解かせて、その選択までの時間を測定して学習が成立するまでのスピードとの関係を調べました。

その結果、早く結論に飛びつくよりも、長い時間をかけて熟慮して結論にいたるラットの方が、学習成績がよいことがわかりました。この際、学習が成立するまでの段階での正解の回数、つまり偶然の成功の回数は、学習が成立するまでの時間に関係はありませんでした。

ラットの実験からわかったことは、まだ学習段階では、じっくりと時間をかけて熟考して失敗する経験を繰り返す方が、最終的には学習までの時間が早くなるということです。

わからない問題に直面したときは、たとえ間違ったとしても、結論を急がずにわからないなりにもよく考えた方が、学習効果が高いようです。

これは試験勉強に限らず、仕事を含めたさまざまな学習にも通じるコツなのかも知れません。