日常の食生活にほとんど「魚」を取り入れていない人は、大動脈疾患による死亡リスクがおよそ2倍にも増加してしまうことが明らかになりました。そして、月に1回から2回程度食べていればリスク増加を防げることもわかりました。
大動脈瘤や大動脈解離といった大動脈疾患を原因とする死亡率は、むかしはそれほど多くはありませんでしたが、近年では高齢化にともなってやや増加している傾向にあるそうです。
大動脈疾患は医療が進んでいる現代においても急速に死に至ることから、常日ごろから予防に心がけることが重要になってきます。
これらの大動脈疾患の原因は主に動脈硬化がもとになっていることから、心筋梗塞と同様に魚をふだんから食事に取り入れることが予防につながる可能性が考えられていました。
では実際に魚を日常的に食べているかどうかで、大動脈疾患の死亡リスクに影響を与えるのでしょうか。
国立がん研究センターの研究グループは、食習慣アンケートの調査結果に基づいて以下の5つのグループに分けて、魚の摂取頻度と大動脈疾患の死亡リスクとの関係を調べました。
- ほとんど食べない
- 月1回から2回食べる
- 週1回から2回食べる
- 週3回から4回食べる
- ほとんど毎日食べる
これらの解析の結果、魚をほとんど食べないグループでは、魚を週1回から2回食べるグループと比べて大動脈解離で死亡するリスクが2.5倍、大動脈瘤では2.0倍に高くなること、これらを合わせた大動脈疾患全体では1.9倍とほぼ2倍に高くなることがわかりました。
魚摂取頻度と大動脈疾患(大動脈瘤・解離合計)死亡(国立がん研究センター)
また、解析結果からは週3回から4回食べるグループやほとんど毎日食べるグループではリスクの大きさがかわらないことも明らかになりました。
つまり、日ごろからほとんど食べない場合は大動脈疾患で死亡するリスクが上がり、少なくとも月1回から2回ほど食べていればこれらの死亡リスクは高くならないことがわかりました。
つまり、魚の摂取を極端に少なくしないことが大動脈疾患による死亡を予防するために重要だと考えられるというわけですね。
また、魚をたくさん食べることは心筋梗塞のリスクを低下させることもわかっているので、より多く摂取することで循環器疾患の予防につながるとも考えられますね。