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なるべく多くの歯を残したほうが適切な睡眠時間を維持できる

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健康な歯を保つことと全身の健康との関係が指摘されていますが、最近の研究からは健康な「歯の本数と睡眠時間」の関係が明らかになっています。なるべく多くの歯を残すことが、適切な睡眠を維持することにつながるようです。




人間にとって適切な睡眠時間はどのくらいなのでしょうか。多少は個人差があるとはいえ、最近の研究からは睡眠時間は長すぎても短すぎてもよくないようです。

睡眠の問題は高齢者にとっても重要なことです。睡眠時間が長すぎても短すぎても死亡率が上昇するなどの研究結果も数多く報告されています。

ところで、歯の健康と睡眠についても無関係ではありません。歯は噛み合わせを保つ役割ももっており、歯がない人では顎が適切な位置におさまらず、気道に悪影響を与えて睡眠時の呼吸を妨げる可能性があるとも言われています。

歯の本数と睡眠時間との関係については東北大学の研究グループが詳しく調査しています。

研究では、65歳以上の2万人以上を対象とした調査を行い、残っている歯の本数と睡眠時間との関係を調べました。

歯の本数が20本以上、10から19本、1から9本、0本で分類し、睡眠時間7時間を基準として短時間または長時間の睡眠リスクを分析しています。

結果は性別や年齢、BMI、教育歴、所得、メンタルヘルス、外出頻度、糖尿病、歩行時間、日常の活動、喫煙歴によって調整されています。

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短時間睡眠と長時間睡眠のリスク(東北大学)

分析した結果、歯の本数と睡眠時間について「U字型」の関係性が存在することがわかりました。

歯の本数が20本以上の人と比べたところ、0本の人たちは短時間睡眠のリスクが1.4倍、長時間睡眠のリスクが1.8倍となりました。

また、1から9本の人たちについてもそれぞれ1.3倍、1.5倍のリスクがみられるなど、同様の関連が確認されています。

1から9本の人よりも全く歯がない人のほうが強いU字型の関係が示されており、より多くの歯を残せるように歯の健康を保つことが、適切な睡眠時間を維持することにつながることがわかりました。

年を取っても健康な睡眠を維持して、そして健康寿命を手に入れるためには若いうちから歯の健康にも気をつけてなるべく多くの歯を維持することが大事なようです。

高齢者における歯の本数と睡眠時間の関係が明らかに -歯がない高齢者は長時間・短時間睡眠になるリスクが1.4倍以上-(東北大学)