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「脳波」をつかった個人識別技術の開発

 音や画像に意識を集中したときに出る脳波を用いて個人の識別が可能になる技術を開発したと、富山県立大の唐山英明准教授(生体情報理工学)が発表した。従来の指紋認証などに比べて偽造や盗用される可能性が低い、新たな生体認証技術の実用化を目指す。

 唐山准教授が開発した「脳波個人識別技術」では、特定の音を聞いたり写真を見たりしてから約0.3秒後に発生する脳波「P300」を利用する。

 実験では、電子音を集中して聞いたり、または建物や風景の写真に注目したときの脳波を学生約10人について測定したところ、音については約90%、写真については90%以上の精度で個人の識別をすることに成功したという。

 指紋認証や虹彩認証の場合は、忘れたり紛失したりしない利点があるが、不正盗用されると情報を変更して再利用することができない欠点がある。

 一方、脳波の場合は偽造や盗用をされにくい。そのため、これまでにアルファ波などを使った脳波による認証システムの研究が進められてきた。脳波のなかでも、とくにP300は波形を発生させるための対象を意識的に決めることができる特徴があるという。

 唐山准教授は、「脳内の電気信号は他人に盗まれない利点がある。様々な生体信号と組み合わせることで、100%の精度の個人識別を目指したい」としている。

出典:読売新聞