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磁気による方向感覚、世界初の「第六感」をもつラットを作製

 方位磁石からの信号を受け取り方角を認識できるラットを作製したと、東京大の池谷裕二教授らの研究グループが米科学誌Current Biologyで発表した。五感とは全く異なる新しい感覚を作り出したのは世界で初めてだという。

 研究グループは、目の見えないラットの頭部に方位磁石を含むセンサーを取り付けた。センサーのサイズは長さ25ミリ、幅10ミリ、厚さ9ミリほどで、脳内の2カ所にセンサーからの信号が伝わる。ラットは北を向いたときに脳の右側が刺激され、逆に南を向くと左側が刺激される。

 迷路で餌を探させる実験を、センサーを装着した目の見えないラットと、正常なラットについて行った。その結果、どちらのラットも最初は餌を発見するまで70~90秒かかったが、30回にわたる訓練後には約20秒まで縮まったという。一方、目が見えずセンサーもないラットの場合は訓練をしても発見までの時間は短縮されなかった。

 センサーを取り付けたラットは訓練後、磁気の情報を与えなくしてもすぐに餌の場所に行くことができるようになった。目が見えなくても方角が分かることで正常なラットと同様に学習効果が得られたという。

参考:読売新聞/産経新聞