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視覚情報処理の理論モデル化、人間に近い視覚機能もつロボット開発に期待

 霊長類がもつ視覚情報処理の一部について理論モデル化に成功したと、科学技術振興機構と国際電気通信基礎技術研究所が22日付の米科学誌で発表した。人間に近い視覚機能をもつロボットの開発につながるという。

 人間を含む霊長類は、目の網膜からの視覚情報について脳内で高度な処理を行うことで外界を認識する。

 これまでの研究では、「一次視覚野」と「二次視覚野」がまず物の形のおおまかな処理をすること、一次視覚野では物体をさまざまな傾きを持つ線の集合体として認識することで輪郭を把握することがわかっている。

 同研究機構の細谷晴夫研究員は、大量の写真データを統計的に分析することで、二次視覚野では複数の線が交わる「角」に反応することで、一次視覚野で捉えた輪郭をより「はっきり」させる理論モデルを導き出した。

 モデルに基づいてコンピューターシミュレーションしたところ、図形の「角」の検出割合は生体実験でサルが「角」に反応したデータと同じだったという。

 この理論モデルを人工知能の電気信号に置き換えて、より人間に近い視覚機能をもつ危険回避装置や、人間の感情を読み取る介護ロボットの開発に応用できるという。

参考:京都新聞