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レム睡眠は記憶形成を促進する レム・ノンレムの切り替えスイッチを発見

レム睡眠が記憶形成を促進

 夢を見る浅い眠り「レム睡眠」がないと、その後の深い眠り「ノンレム睡眠」の際に学習や記憶の形成を促す脳波が弱まると、筑波大などの研究チームが22日付の米科学誌「Science」で発表した。レム睡眠の減少による発達障害や不眠症などのメカニズムの解明につながるという。

 研究チームはマウスの脳幹を調べ、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えを行う神経細胞を特定し、レム・ノンレム睡眠の切り替えには「Atoh1」という遺伝子が働いていることを解明した。

 研究チームは、遺伝子操作でこの神経細胞の働きを人工的に操作できるマウスを開発した。レム睡眠を妨げたところ、ノンレム睡眠中に出るゆっくりとした周期の脳波「デルタ波」が低下した。一方、レム睡眠を増やすとデルタ波は強まったという。

 デルタ波が出ている時には、神経細胞同士にネットワークをつなぐシナプスが強化されて記憶が形成されたり、成長ホルモンが分泌されて脳の発達や回復が促される。レム睡眠には、ノンレム睡眠中のこれらの働きを誘発する役割があるという。

 筑波大の林悠助教は「デルタ波はアルツハイマー病やうつ病にかかると低下する。マウスの記憶力や学習能力を検証し、関係の解明を進めたい」としている。

(via 毎日新聞 47NEWS 時事通信)