虐待などを受けて反応性愛着障害(RAD)になった子どもの脳では、脳の一部が小さい傾向があることが福井大などの研究チームによって明らかになった。また「成果をほめる」などの心理療法の効果が小さい可能性があるという。
RADは、養育者から体罰や暴言を受けることによって、養育者に対する愛着が形成されずに発症する精神疾患で、衝動や怒りの制御が難しいなどの症状がある。
研究チームは、10~17歳のRADの子ども21人の脳の断面を磁気共鳴画像化装置(MRI)で撮影し、そうでない子ども22人の脳と比較した。
その結果、RADの子どもでは「視覚野」の灰白質の容積が2割ほど少ないことが明らかになった。この部位がダメージを受けると他人の表情から感情を読み取りにくくなるため、虐待などが脳に影響を与えて症状につながっていることがわかった。
また、10~15歳のRADの子ども16人とそうでない子ども20人を対象に、金銭の報酬が得られるゲームを実施して脳の活動を調べた。
その結果、RADの子どもはやる気や意欲などに関わる「線条体」の活動量は、RADでない子どもと比べて半分以下だった。RADの子どもは報酬に対するモチベーションが低く、一般的な治療とは違う治療法が必要である可能性があることがわかった。
(via 毎日新聞)