バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 4.18 Thu

「自由選択」で行動する際の脳のメカニズムを解明

自由選択

 好き嫌いや損得などに影響されない状況で「自由選択」する際の神経細胞の活動を解明したと、京都大こころの未来研究センターの船橋新太郎教授らの研究グループが米科学誌「Journal of Neurophysiology」で発表した。高次脳機能障害の仕組みの解明につながるという。

 自身の行動を選択する際、それぞれの選択肢の損得などを手掛かりに選択するが、そのような情報がない状況「自由選択条件」であっても自身の意志で内発的に選択することができる。

 大脳の前頭連合野は視野における物体の位置を認識する役割を担う。一方、同じ部位が「自由選択条件」での行動に関与することも知られている。

 研究グループは、サルが自由選択を行う際の前頭連合野での神経細胞の活動を調べる実験を行った。

 サルの前に置かれた画面に2個の丸印を表示し、両方の丸印を消した。その直後にサルがどちらの丸印に視線を送っても同じ報酬を与えて選択に差が生じない自由選択の条件とした。

 サルの神経細胞の活動を分析したところ、視線を向けた丸印の場所に対応する前頭連合野の神経細胞の活動が、丸印が表示される直前から高まっていたという。

 研究グループの望月圭研究員は「自由な行動の背景に、行動に移す直前の神経細胞の活動が反映している」と説明している。

(via 京都新聞 京都大